ALPHA（あるふぁ）

神奈川県横浜市に本社があるALPHA/株式会社アルファは、1923年（大正12年）創業の総合ロックメーカーです。大阪支店・群馬工場・山梨物流センターがあり、ALPHAのグループ会社は国内3社・海外10ヵ国16社におよびます。ALPHAの事業内容は、玄関ドアの鍵や錠前などの住設機器、自動車の鍵やドアハンドルなどの自動車部品、ロッカーシステムといった人々の生活に身近な3つの分野の開発・製造・販売・リース業等です。会社名のALPHA（アルファ）は、ギリシャ文字の最初の文字「α」に由来し、「最高・一番」を意味します。これはALPHAが鍵や錠前専門の総合ロックメーカーとして、常にNO.1を目指して商品の開発・製造に取り組む姿勢を表しています。ALPHAは「みなさまの日々の生活を少しでも快適に」との考えのもとに事業に取り組んでおり、企業メッセージの「Innovation for Access」には、人の暮らしに関わるアクセスをもっと安心で便利にするという思いが込められています。ALPHA社製の錠ケースや鍵穴の上部には「ALPHA」のロゴが刻まれています。

創業から100年の歴史のなかで、さまざまな鍵や錠前の画期的な開発をしてきました。ALPHA創業当時の住宅用の鍵は、防犯性の低い受注生産型のレバータンブラー錠が一般的でしたが、ALPHAは日本ではじめて量産型のシリンダー錠を製造・販売したメーカーになります。そして10年後の1933年（昭和8年）には、それまでアメリカ製だった国産自動車用の鍵セットを国内初の製造を開始しました。進駐軍の要請に応じて1947年（昭和22年）から製造・販売を始めた「ALPHA」の刻印のあるエール式の南京錠は現在も国内トップシェアを誇っています。自動販売機やゲーム機などに使われる産業用の鍵「八万ロック」を1955年（昭和30年）ALPHAが日本ではじめて製造しました。この八万ロックは計算上、八十二万通りの鍵違い錠がある鍵です。1964年（昭和39年）の東京オリンピックの年には、ALPHAが日本ではじめてのコインロッカーを新宿駅に設置しました。手荷物預かり所が普通だった時代にコインロッカーの登場は世間に大きな話題を呼びました。コインロッカーという名称はALPHAの商品名でしたが、全国に普及するとともに現在は一般名詞として使われています。

玄関ドアの鍵などの住設機器事業はALPHA創業以来の事業で、自動車部品の開発・製造で培った技術を住宅の電気錠に応用しています。ALPHAは自動車用の鍵やコインロッカーの最大手メーカーとして知られていましたが、電子錠が普及してからは住宅用の電気錠のトップシェアを誇っています。住宅用電気錠の「edロックシリーズ」は累計販売台数100万台を超えるほどの人気があります。edロックシリーズは1984年にキーレス玄関錠「デジタロック」の製造・販売以降、現在は7代目の「edロックPLUS」が製造・販売されています。edロックPLUSは、住宅用スマートロックで、暗証番号で施解錠出来るため鍵を持ち歩く必要がありません。暗証番号以外の施解錠にも対応しており、パスケースや財布に入れて持ち運べるICカードや、スマートフォンのおサイフケータイに連携しての施解錠が可能です。ICチップを搭載した直径10ミリと非常にコンパクトなシールキーにも対応しており、シールキーをキーホルダーや小物などに貼って施解錠に使用します。edロックPLUSの電子錠自体も高性能でスマートなデザインが特徴です。従来の電子錠は企業向けがほとんどでしたが、一般家庭の玄関ドアにも電子錠を取り付けることが多くなったため、ALPHAの公式オンラインストアで電子錠の販売をはじめました。ALPHAの住宅用電気錠はOEM・ODM生産も行っており、YKK AP株式会社の主力玄関扉「スマートドアヴェナート・プロントシリーズ」などに採用されています。

シリンダー錠の「ALPHA FBロック」は、耐ピッキング性能が10分以上と、不正解錠をあきらめる基準とされる5分を大きく上回る性能を持っています。内部には水平2方向・斜めから2方向に12本～最大20本のピンを配列し、ピッキングを困難にしたマルチハイブリッド機構のCP-C認定シリンダーです。アンチピッキングピンを使用し、鍵違いは最大1,300億通りあります。鍵本体は鍵穴に差し込む際に裏表がなく扱いやすいリバーシブルタイプです。鍵の先端にALPHA独自のフローティングボールを埋め込んだ特許出願中の特殊な構造となっています。直径１ミリのフローティングボールは鍵に固定されておらず、シリンダー内部のピンにより動かされ、このフローティングボールが鍵穴に正しくフィットすると解錠します。鍵の複製はALPHAの自社工場でしか複製することができず、購入の際に鍵に付属しているセキュリティカードを販売店に提示した場合のみ製作可能です。電気錠や電子錠の普及により鍵が不要のキーレスの錠も増えてきましたが、停電や故障などの非常時に備えてシリンダー錠は必要不可欠なため、ALPHAでは高性能なシリンダー錠の技術に磨きをかけています。