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バイオメトリクス認証(ばいおめとりくすにんしょう)

バイオメトリクス認証は、個人の生体情報となる指紋や顔、静脈などをシステムに登録し、物理的な鍵を使用せずに個人を認証する技術です。日常生活で頻繁に使用されているバイオメトリクス認証は、会社や工場、病院など大勢の人が出入りする入退室管理システムに幅広く使われています。近年では、一般家庭でもバイオメトリクス認証の鍵を採用するケースが増加傾向にあります。バイオメトリクス認証は、鍵となる個人の生体情報や動きを専用の機器に登録し、認証時に情報が一致することで鍵が開く仕組みとなっています。1度登録された情報は変わらないため、登録された本人のみセキュリティ解除が可能です。
 
バイオメトリクス認証には、静的バイオメトリクスと動的バイオメトリクスの2つのカテゴリが存在します。静的バイオメトリクス認証で使用される生体情報には、指紋、顔、静脈、虹彩などがあります。また、犯罪捜査や医療現場ではDNA認証や耳介認証といった種類も存在します。指紋認証は、個人が持つ指紋を鍵として登録し、スマートフォンのロック解除や家の鍵として活躍するスマートロックに多く使われています。顔認証は、個人の顔の特徴から判断できるため、多くの人が出入りする場所や入退室管理システムで使用されます。虹彩認証は、カメラを使用して瞳の色や瞳孔などから個人を判定します。瞳の情報を元に登録するため、外的な変化に左右されず高い精度での認証が可能です。今後は、工場や会社などへの入退室管理システムとして導入が期待されています。静脈認証では、赤外線を用いて手の平や指の静脈を読み取り認証します。プライバシーの情報を扱う行政機関や金融機関などではすでに導入されています。音声認証は、声を読み取るシステムを使用して、決まった言葉や個人の声を鍵として認証します。社内システムのログインや従業員の入退室管理システムに使用できます。犯罪や医療現場で活用されている耳介認証は耳の形での判断、そしてDNA認証は表皮や髪の毛などの細かいパーツを利用するなど遺伝子を用いて判断します。動的バイオメトリクス認証は、一定の行動パターンやカメラを通して歩き方を読み取るほか、スマートフォンの操作や文字を書く時の筆圧など、個人の癖や動きの特徴を登録して認証させるカテゴリです。静的バイオメトリクス、動的バイオメトリクスともに、個人によって異なる身体的な特徴や動作を使って本人確認を行うことに加え、鍵の管理や紛失などのリスクが軽減されるため、セキュリティ面において十分な役割を得られます。さらに動的バイオメトリクス認証と静的バイオメトリクスを併用することで、さらなるセキュリティの向上が期待できます。
 
近年、バイオメトリクス認証の技術はさまざまな場所で活躍しています。不特定多数の人が出入りするデパートやオフィスビル、スポーツジムや塾などの入退室管理システムでは、顔認証や音声認証などが多く導入されています。新築マンションでもバイオメトリクス認証の技術を用いて手ぶら入館を可能にしているほか、コンサートやライブ会場ではチケットの転売防止を防ぐために導入する企業も増加しています。また、空港の入国審査においても年々進化しており、ドイツのフランクフルト空港では通過ポイントでパスポートを見せる必要のないバイオメトリクス認証のシステムを実際に稼働中です。昨今増加しているネット銀行では、顔認証技術をフル活用し、顔と本人確認書類を同時に撮影して一致できるサービスが行われています。ホテル宿泊のシーンでもバイオメトリクス認証技術が取り入れられており、接客をしなくてもチェックインと各部屋の解錠を顔認証で行えるようなシステムが誕生しています。チェックインに時間を有することがなく、さらにはルームキーも必要ないため、スムーズな宿泊が可能です。バイオメトリクス認証を利用することで、本人を認証するまでのスピードが早いため、生産性向上にもつながります。大人数が入退場するシーンや、PCでのログイン時にも時間短縮や混雑を防げること、入場時のスタッフも最小限で済み人件費の削減にもつながるなど、メリットが多いです。
 
バイオメトリクス認証には、個人の生体情報や特定の動きが重要な鍵となるため、保存された情報の管理には十分気をつける必要があります。情報が集約されたデータベースを十分なセキュリティを用いて対策しなければ、悪用されてしまうリスクがあるからです。これまでのパスワードやICカードによる認証は、第三者の手に渡ったとしても設定しなおすことで再利用が可能でしたが、生体認証のデータは1度盗まれてしまうと、迅速に取り戻すことが困難です。また、個人の身体が加齢や事故によって変化した場合はロックされる可能性も出てきます。バイオメトリクス認証の注意点をしっかり理解し、定期的にバックアップを取っておく、頻繁にセキュリティチェックを行う、複数の生体で認証を登録しておくなど、何重にも対策をしておく必要があります。バイオメトリクス認証以外の認証方法と組み合わせることもセキュリティを強化するひとつの手です。バイオメトリクス認証の利便性と堅牢性は、今後の一般的な未来の鍵となり、さまざまな場面で広がりつづけることが予想されます。

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