ディンプルキー（でぃんぷるきー）

ディンプルキーとはシリンダー錠のひとつで、「ディンプル」は「くぼみ・えくぼ」を表しています。2000年代前半にピッキングによる空き巣被害が急増して以来、防犯性を高める鍵としてディンプルキーが急速に普及しました。美和ロック株式会社（MIWA）や株式会社ゴール（GOAL）など、現在多くの鍵メーカーが防犯性の高いディンプルキーを製造・販売しています。ディンプルキーはディスクシリンダー錠と違い、鍵の側面がギザギザしておらず丸みを帯びているのが特徴的です。また、鍵の表面にはえくぼのようなくぼみが複数みられ、それぞれ大きさや形、くぼみの深さが異なります。

バリエーションの豊かさとピッキング耐性からの防犯性の高さがディンプルキーの強みです。ディンプルキーはくぼみの形状を変えるだけでまったく別の鍵になります。鍵のバリエーションが増えることでピッキングによって鍵を簡単に開けることが難しくなるため、防犯性が高いと言えます。鍵は、鍵の形状と鍵穴の内部にあるピンの高さが一致することで解錠します。また、特殊な工具を使って、鍵を使わずに解錠することをピッキングといいますが、鍵の形状と上下のピンの高さを一致させるディスクシリンダー錠に対し、ディンプルキーは鍵の形状と上下左右のピンの高さを一致させなければならないため防犯性が高く、くぼみの形状とピンの組み合わせが複雑で精密なため、ピッキングが困難とされています。

ディンプルキーの鍵のパターンは理論上、数十億から数千億通りあるとされています。たとえば、MIWAのPRシリンダーは理論上で1,000億通り、GOALのGVシリンダーでは1,000兆2,800通りもあると言われています。ディンプルキーはディスクシリンダー錠と比べてピンの本数が多く、一致させるピンの数が増える分より繊細な作業が必要となるため、ピッキングに何倍もの時間がかかります。警視庁が公開している都市防犯研究センターの資料によると、鍵を開けて侵入する空き巣の7割が、侵入するのに5分以上かかると侵入を断念すると言われています。ディスクシリンダー錠に比べて複雑な構造で解錠に時間のかかるディンプルキーは、空き巣を未然に防ぐ非常に防犯性の高い鍵であると言えます。鍵には裏表がなくどちらの向きでも差し込めるため、ご高齢の方や子どもでも使いやすいという点もディンプルキーの特徴のひとつです。

ディンプルキーの形状は複雑で、くぼみの深さは非常に精密に作られています。そのため合鍵をつくる際にも高度な技術が求められます。また鍵は登録制であることが多く、番号を示さないと合い鍵を作ることができないディンプルキーもあります。よって第三者が犯罪目的などでディンプルキーを不正に複製するのはきわめて困難であるため、非常に防犯性が高い鍵であると言えます。通常のディンプルキーであれば、鍵に刻印してある鍵番号を伝えることで、鍵屋やホームセンターでの合鍵の作成が可能です。また、鍵屋やホームセンター以外に、インターネットからでもディンプルキーの合鍵作成を行うことが可能です。インターネットからメーカーや鍵の複製を行っているホームページから、鍵会社や複製したいディンプルキーを選択し、鍵番号を入力して注文をします。わざわざお店に行かなくても気軽にディンプルキーの合鍵作成ができるため、非常に便利です。鍵番号は、純正のディンプルキーには必ず刻印してあり、数字とアルファベットの羅列で記載してあります。複製されたディンプルキーには、鍵番号の刻印はされません。鍵番号さえわかれば第三者でも鍵の複製が可能であるため、犯罪目的で使用されないためにも、防犯対策として鍵番号は絶対に他人に教えないことが重要です。

第三者から簡単にディンプルキーを複製されないための手段として、登録制シリンダーのディンプルキーを使用するという方法があります。登録制シリンダーのディンプルキーとは、メーカー自体が鍵番号を管理しており、防犯性を高めるために入居者以外が勝手に合鍵を作成できない仕組みになっている鍵のことを言います。登録制のディンプルキーの場合、メーカーに合鍵を発注しなければ複製することはできないため、第三者が合鍵を作成することは難しく、非常に防犯性が高いと言えます。登録制シリンダーのディンプルキーはメーカーが鍵番号を管理しているため、専用の窓口から合鍵の作成を依頼する必要があります。

鍵を選ぶ際は、CPマーク付きのものを選ぶと防犯性、安全性がより高いです。CP（Crime Prevention）マークとは、警察庁・国土交通省・経済産業省などの省庁と建物部品関連団体で構成された官民合同会議によって認定された製品にのみ表示できるマークです。防犯性能試験で建物への侵入を5分以上防ぐことができる防犯性の高い製品・部品のため、防犯対策としてCPマーク付きの製品を選ぶと安心です。