扉修理(とびらしゅうり)
扉が開かなくなったり建て付けが悪くなったりした際は扉修理が必要です。扉は鍵穴やドアノブに加え、扉本体とドア枠を固定する「蝶番(ちょうつがい)」、側面から滑り出る「ラッチボルト」などの金具で構成されています。開き戸の玄関ドアの場合は、扉の上部に開閉速度を調節する「ドアクローザー」が設置されているケースがほとんどです。扉はドアノブを回すことで、ドア枠の受け穴に入っていたラッチボルトが本体側に戻り、ストッパーが外れ開く仕組みとなっています。
扉は大きく室内ドアと玄関ドアの2種類にわけられます。玄関ドアに使われるタイプは、1枚または2枚の扉を前後に開放する「開き戸」や、レール上を移動させることで広い開口部を実現する「引き戸」があげられます。ドアの素材には木製やアルミ製などがあり、表面の再塗装やドア枠の歪み矯正の際の工事方法が異なります。室内ドアにはさらに「折れ戸」といったタイプも採用されており、クローゼットや下駄箱など前後に広いスペースをとりにくい収納エリアに多く使われています。
住宅の扉で発生するトラブルで多いのは扉が閉まらないといった開閉トラブルです。鍵や鍵穴に問題がないにもかかわらず発生する原因としては、経年劣化によるネジや蝶番の緩み、変形などが考えられます。とくに風雨にさらされる玄関ドアでは蝶番の摩耗が進みやすく、扉やドア枠の歪みにつながるケースもあります。歪みをそのままにしておくとラッチボルトとドア枠の受け穴の位置がずれて、鍵穴が合わなくなるリスクがあるため注意が必要です。また内部の部品が劣化しバネの反発が弱まることによる、ドアノブが空回りするといった開閉トラブルも存在します。
開閉に関するトラブルには玄関ドアが速く閉まるなど、扉の上部に設置されているドアクローザーが原因の事例もあります。玄関ドアの開閉スピードを正常にする場合は、ドアクローザー本体の開閉速度ネジやアームの調整のみで済むケースもあります。しかし急激にドアが速く閉まるなどの場合は、ドアクローザー本体内にある油が切れたり漏れたりしている可能性があり、その場合は調整ではなく交換が必要です。
そのほか室内の扉に多いのがドアに穴を開けてしまうトラブルです。広く普及している化粧板仕上げや突き板仕上げのドアは、ドア枠の外周を木で組み内側を空洞にしたフラッシュ構造を採用している場合が多くなっています。そのため誤って強く物をぶつけるなどすると陥没したように穴が開いてしまい、穴埋め工事や再塗装が必要になります。
耐用年数が15年から20年程度である室内ドアや玄関の木製ドアをより長く使用するには、トラブルが小さいうちに扉の専門業者に相談することが大切です。とくにドアクローザーや蝶番に関するトラブルはそのままにしておくと扉全体の寿命を早めるほか防犯面に影響を及ぼすため、業者への早急な修理依頼が推奨されます。
扉に関する全般的な修理は、扉の専門業者や工務店、リフォーム会社へ依頼をします。扉によってはメーカーに修理依頼ができる場合もあるため、該当する製品を使用している場合は型番などを調べ、ホームページや電話で対応を確認するのが有効です。また建て付けが悪い場合は調整すれば改善することもありますが、鍵が原因で扉を修理する際は専門の鍵業者への依頼が必要です。鍵業者へ依頼する際は、シリンダーやノブ、ハンドルなど修理が必要な箇所を確認し不具合の症状を具体的に伝えます。ガラスの破損によるドアガラスの交換は、設置希望のガラスの種類やサイズをオーダーします。
扉修理を依頼する際は、見積もりと説明をしっかりとしてくれる良心的な業者を選定することが大切です。業者に扉修理を依頼した際の費用は故障部位や素材によって異なります。扉修理には作業代や部品代のほか、出張費用や駐車料金なども追加で必要な場合があるため、見積り時のチェックでは内訳がわかりやすく明記されているかに確認します。保証期間内であれば無料で修理してもらえることもあるため、修理箇所の保証期間やアフターサービスなどのチェックを忘れずに行うことも大切です。自宅から近い業者に依頼すると出張費用がおさえられ、再度不具合が発生した場合にも迅速に対応してもらえます。
業者に依頼した際の修理内容は、部品の滑りを潤滑剤スプレーで調整したり、扉の重みで外れた蝶番の再設置や、ネジ穴の広がりを工具で調整します。蝶番やネジに変形がある場合は、新しい部品への交換作業を行います。ドア枠が歪んでいる木製ドアは扉を削って歪みを微調整する場合もありますが、木製建具を取り扱わない業者は対応できないケースもあります。そのため実際に扉修理を依頼する前に、木製建具を取り扱っているかを問い合わせておくと安心です。
賃貸マンションやアパートの扉を自分で修理すると、場合によっては原状回復義務が問われてしまうケースもあるため、管理会社や大家に事前に相談が必要です。建物自体の歪みにより修理が必要であれば修理費を負担してくれる場合もあるため、あわせて確認しておくとコストダウンにつながることがあります。