電気工事士(でんきこうじし)
電気工事士とは、一般住宅・ビル・商店・工場などの電気設備工事を行う際に、電気設備の安全を守るための国家資格を所有している者のことを指します。これらの電気設備工事を行う際には、一定の電気工事士の資格を所有していなければできない作業が含まれており、法律によって定められています。電気工事士法といって、電気工事に従事する者の資格や義務、電気工事の欠陥による災害の発生を抑止する目的で定められた法律です。電気工事士の資格は二種類に分類されており、第一種と第二種があります。それぞれに行える行為などが異なり、第一種の方が上位資格とされています。電気工事士の資格を持っていない人が電気設備の工事を行った場合、3万円以下の罰金、もしくは3か月以下の懲役が科される可能性があります。無資格者や無登録者の営業行為についても10万円以下の罰金、もしくは1年以下の懲役となる可能性があります。電気工事は、一歩間違うと火災や関電事故など、命に係わる事故へつながりかねない知識や技術が必要な工事です。自己責任だから大丈夫と安易に電気錠などの設置作業を行わず、必ずきちんと資格を持った電気工事士へ依頼する必要があります。自宅などで行う、自分での簡易的な電気工事が電気工事士法に触れる範囲かどうか、わかりやすいボーダーラインは600V以下です。たとえば、自宅の照明器具の取り換えなどは自身で行って問題のない、電気工事士法範囲外だといえます。エアコンの設置も、600V以下であれば電気工事士法範囲外で問題ありません。一方、電気錠やスイッチ・コンセントなどの配線工事は、電気工事士法に違反する可能性があるので電気工事士への依頼することになります。
最近の住宅の玄関扉は、電気錠を取り入れているケースが増えています。電気錠とは、電気の力を利用し鍵の開閉を行うロックシステムのことです。近年では、自動車の開閉なども電気錠が主流となっています。カード式やリモコン式、スマートフォンなどの非接触式機器を介して利用できる便利な機能の電気錠ですが、これらの電気錠を動かすための制御盤を設置するには、電気工事士の資格が必要になります。電気工事士により制御盤が設置済みであれば、それ以降の電気錠の設置作業自体には、電気工事士の資格は必要ありません。電気錠と電子錠にも違いがあり、電気錠は電気の配線を利用し電力を供給します。一方電子錠は一般的な電池を利用して電気を供給するため、配線工事の必要がなく、電気工事士の資格を持っていなくても設置することが可能です。電気工事士の資格保有者は自動ドアの設置、メンテナンスを行うことができます。自動ドアには、いくつもの機械や電子機器が使用されています。自動ドアの設置等に関して、自動ドア施工技能士という国家資格が存在します。資格取得には7年以上の実務経験が必要で、高い技術と知識が求められる自動ドアのプロフェッショナルともいえる資格です。ですが、電気工事士と同様国家資格ではあるものの、自動ドアの修理に必ず必要な資格というわけではありません。その点、電気工事士は自動ドアの設置・点検・保守も行えますので、持っていると作業範囲や仕事の幅がとても広がる貴重な資格といえます。
昨今増加傾向にある強盗や空き巣被害の防犯対策として、インターホンを設置する家庭も増えています。突然扉を開けて対応するよりも、1度インターホン越しに相手を確認してからの対応の方が安全であり、不在時も訪問者の履歴が残るため安心材料として設置している人が多いです。このインターホンの交換にも、電気工事士の資格が必要な場合があります。インターホンは、電力をとる方式の違いによって3タイプに分類されています。電源直結式・乾電池式・電源コード式のうち、乾電池式と電源コード式のインターホンであれば、交換時に電気工事士の資格が無くても取り付けることが可能です。一方、電力を電源直結式で取っているタイプのインターホンは、電気工事士の資格を持っている人でなければ交換することができません。アパートやマンションなど集合住宅に居住している場合、エントランスのオートロックシステムと連動していることも多いため、原則自分の住んでいる部屋だけのインターホンを交換することはできません。エントランス以外にも、玄関扉の電気錠、火災報知機やガス警報器、固定電話などとインターホンを連動させている場合、新たに交換する種類によってはうまく連動しない場合があります。部品の故障や、思わぬ怪我等を招かないためにも、取り扱いのプロである電気工事士に依頼し、正規の使用方法で安心安全に利用することが大切です。生活に便利な電気錠を取り入れることで、従来の鍵を持ち運ぶ必要もなく、少ない所持品で外出が可能です。電気錠であれば、帰宅後鍵を探す手間も省けて快適です。電気錠の取り付けやメンテナンス等も、きちんと資格を持った信頼できる電気工事士の所属する業者選びが重要です。なかには無資格で電気工事士を名乗り、不必要に電子錠の取り換えや修繕を進めてくる悪徳業者も存在します。事前に希望する電気錠の下調べを自身でも行い、依頼前に信頼と実績のある電気工事士かどうか見極めることが重要です。