HORI/堀商店（ほりしょうてん）

千葉県野田市に本社がある HORI/堀商店は、明治23年創業の老舗の鍵メーカーです。札幌市に営業所、東京にショールームがあり、本社と同住所に関連会社の堀ロック工業株式会社があります。平成29年2月1日には系列会社である株式会社保利の事業を承継しました。創業当時は欧米の錠前や建具金物、暖炉金物などの輸入販売を行なっていましたが、大正のはじめには自社で錠前や建物金具、舶来金物などを製造販売して西洋金物店としてのポジションを確立しました。現在は錠前各種、レバーハンドル、ノブ、蝶番（丁番）などの製造販売や、特殊建築金物の受注生産などを行っています。

HORIは「安全性が高く堅牢なこと」「質感のある重厚なデザイン」を根本的な考えとして製品を開発しており、確かな技術力と信頼性で国内はもとより海外でも高い評価を得ている企業です。HORIは革新的な製品を開発する一方で、伝統的な手法によるハンドメイドの少量生産にも対応しており、特注品やオリジナル品の製作も行っているほか、歴史的建造物における錠前、金物の修理復元にも貢献しています。HORIの東京都港区新橋の旧社屋は、昭和7年建築で登録有形文化財（建物）に指定されており、昭和初期の貴重な商業建築物です。

「丈夫で長く使え、重厚で美しく、使い込むほどに味わいを深め、毎日の暮らしを豊かにしてくれる」ものがHORIの考える本当に良いものであるため、ほかの大手鍵メーカーにはないオリジナリティのある製品が多くあります。HORIでは、槌目の手作りの味わいのある模様や植物モチーフ、石目模様など、ギリシャ風やコロニアル風、ルネサンス風、ルイ16世風、など曲線を活かしたヨーロッパ風の優美で重厚なデザイン中心に、アジアやアフリカ風などのドアハンドルやドアレバー、建物金具などを製造販売しています。

HORIでは、特に金属の型に溶かした金属を流して製造する、鋳物のブロンズ製、真鍮製の製品が多くあります。ブロンズ製や真鍮製の製品は使用しているうちに経年変化でアンティークのような味わいのある風合いになっていきます。ほかにもHORIの製品には、ウォールナット製のハンドルやローズウッド製やチーク製など木製のドアノブもあります。HORI製品の特徴的なものに「フェロネリ（FN）」シリーズがあります。フェロネリシリーズはヨーロッパの伝統的な鉄細工の、手作りの風合いと独特な質感を再現しながら、湿度が高い日本の気候に合わせて真鍮に鍛鉄風の仕上げをしているため、雨による赤錆が出ない仕上がりになっています。HORIには、錠の鍵穴の上の部分や鍵のキーヘッドにHORIのロゴがあります。HORIの鍵の複製はホームセンターなどのキーコーナーでは難しいため、販売店を通しての注文のほか、HORI本社で対応しています。

HORIの開き戸用の玄関錠は、サムラッチハンドルやレバーハンドル、ノブをセットで販売しています。HORIのハンドルやノブは多くのデザインから選べ、玄関や物置など用途を選ぶと「シリンダー彫込箱錠サムラッチハンドル型」や「シリンダー彫込自動錠レバーハンドル型」などの対応する錠が決まります。「シリンダー彫込箱錠ノブ型」は、HORIの錠のなかでもっとも早く開発された鋼板製の彫込玄関錠で、現在まで改良を重ねて高い強度と堅牢製を有するようになりました。ラッチは銅系の含油金属使用やアンチフリクション構造でスムーズに扉が閉まり、デッドボルト中央に無垢の浸炭焼入鋼を使用して防犯性を高めています。ほかにも外からデッドボルトが見えず、なかから施錠が一目でわかる「シリンダー面付本締錠」や補助錠に適した「シリンダー彫込本締錠」のデッドボルトには焼入鋼や浸炭焼入鋼を入れて防犯性を高めています。HORIの錠のなかでも画期的なものに「可変タンブラー錠」があります。HORIが独自に開発した画期的な機械式の錠で、鍵を紛失した際にプラスドライバー、ニュートラルキー、新しい鍵があれば簡単な操作で新たな鍵をセットできます。錠本体を変えないまま、24万種類のなかから使用する鍵を変えられます。

シリンダーでは「トライデントシリンダー」と「6Pシリンダー」の2つをHORIでは取り扱っています。トライデントシリンダーはHORIの登録商標で、トライデントとはギリシャ語で3や三つ又の槍を意味し、シリンダー内部に3方向からピンを配置しています。鍵違い数は1,400万（15ピンの場合の理論値)通りあり、ピッキングによる不正解錠が非常に困難です。鍵穴が丸く、鍵本体の差し込み部分は立体的な丸い棒状で、鍵の持ち手の部分は直角三角形のような独特な形状のため鍵の複製が難しくなっています。「6Pシリンダー」は通常の1列のピンが並んだシリンダーですが、鍵穴をギザギザにして防犯性を高めています。HORIトライデントシリンダーと6Pシリンダーのどちらも高硬度の特殊鋼を埋め込んでおり、物理的な錠の破壊を防いでいます。