インテグラル錠(いんてぐらるじょう)
本締付モノロックとも呼ばれるインテグラル錠は、1955年に大手鍵メーカーの美和ロックによって開発された錠前です。インテグラル錠は、幅広い種類の扉に設置できる利点を持ちます。古い住宅の玄関や勝手口のほか、事務所や店舗内の通用口、倉庫の鍵として使われている場合があります。インテグラル錠の取っ手の種類は大きく分けて、一般的な「握り玉型」と、「レバーハンドル型」の2種類です。既存の取っ手からレバーハンドルに変更も可能なため、ライフスタイルに合わせて使い勝手を変えやすい錠前といえます。
インテグラル錠は、主に3つの特徴があげられます。1つ目は、鍵穴とドアノブが一体型となったキー・イン・ノブ構造である点です。2つ目の特徴は、錠ケースの仕組みです。インテグラル錠の錠ケースには、カンヌキとなるデッドボルトと、風などで扉がひとりで開くのを防ぐラッチボルトが付属しています。3つ目の特徴は、室内側のドアノブの仕組みです。インテグラル錠の室内側のドアノブには、サムターンが付属しています。インテグラル錠と外観が似た錠前である円筒錠も、キー・イン・ノブの仕組みが採用された錠前です。しかし、円筒錠にはデッドボルトが存在せず、ロック機構の仕組みはドアノブに連動するラッチボルトが担っています。押しボタンで外のドアノブを回せなくすることで、ラッチボルトを固定するのが円筒錠の仕組みです。よって、扉の側面を見た際に2種類の金具が確認できればインテグラル錠と判断できます。
外からは鍵によって、室内からはサムターンによって施解錠されるのが、インテグラル錠の仕組みです。インテグラル錠の施解錠の仕組みを担う部品が、ドアノブ中心に存在する角芯です。鍵を差し込み回すと、鍵の動きに合わせて角芯が回転します。そうすると角芯の動きと連動しているデッドボルトが動き、施解錠される仕組みです。インテグラル錠の開閉に重要な仕組みには、スピンドルもあげられます。スピンドルは、角芯の上または下についている半月型の金属プレートで、ラッチボルトに連動する部品です。扉が閉まっているインテグラル錠は、ドア枠の受け部にラッチボルトがはまっている状態です。ドアノブをひねると、ドアノブの回転に合わせてスピンドルが回転します。そうするとラッチボルトが錠ケースに戻され、扉が開く仕組みとなっています。インテグラル錠の内部構造は、スピンドルの数によって分類できます。スピンドルが1つであれば「1スピンドルタイプ」、2つであれば「2スピンドルタイプ」のインテグラル錠です。
近年の錠前と比較すると、インテグラル錠には複数の防犯リスクが考えられます。インテグラル錠は、施錠の機構がドアノブに直結する仕組みです。そのため、もぎ取りと呼ばれる、ドアノブを取り去って侵入する手口に狙われる可能性があります。古いインテグラル錠の場合、鍵の防犯性能が十分でない場合もあります。古い仕組みのピンシリンダーやディスクシリンダーは、ピッキングの容易さが指摘されている鍵です。これらの鍵を使用している場合は、防犯性の高い新しい仕組みの錠前への交換が推奨されます。インテグラル錠は、サムターン回しにも注意が必要です。勝手口で多く使用されるインテグラル錠ですが、勝手口にはガラスの使用事例が多々あげられます。インテグラル錠の防犯性能を上げるには、防犯ガラスへの変更、補助錠の追加といった対策が求められます。
防犯面以外にも、現在使用している仕組みに異常が見られる場合は、注意が必要です。ドアノブや鍵の動きが悪い、異音がするといった場合、経年劣化による故障の可能性があります。完全に故障すると開閉できなくなる恐れがあるため、早めに交換するようにしてください。インテグラル錠は、鍵穴とドアノブが一体になっているため、鍵交換では錠ケース一式を交換するのが一般的です。インテグラル錠を交換する際は、扉側面の刻印からメーカーや型番を調べ、縦横やネジ間の距離も測っておきます。シリンダーと扉の先までの寸法や、扉の厚みも確認しておいてください。それらの値から交換可能な製品を特定します。
インテグラル錠に付属するドアノブは、内から外の順で取り外しが可能です。まず、インテグラル錠の土台を反時計回りに回し、室内側のドアノブを取り外します。次に、座金と呼ばれるドーナツ型の金具のネジをドライバーで緩めると、室外側のドアノブの固定が外れます。最後に、扉側面のネジを緩めると、錠ケースが取り出し可能です。新しいインテグラル錠を設置する際は、扉が閉まっていく方向にラッチボルトの短い辺がくるよう、錠ケースを設置してください。室外側、室内側の順にドアノブを取り付け終えたら、ラッチボルトや鍵の仕組みに問題がないか確認してください。インテグラル錠の交換は、DIYでも可能です。しかし種類の特定を誤ると、ドアノブをスムーズに交換できなくなる恐れがあります。製品選びや交換作業に自信がない場合は、専門業者に依頼すると安心です。
