MIFARE(マイフェア)
カード認証システムは、入退室管理などで使用されています。リーダーにおいてさまざまなカード認証が採用されていますが、そのひとつにMIFAREがあります。「MIkron FARE-collection System」の略であるMIFAREは、世界的で広く知られているカード認証システムで、オランダの「NXPセミコンダクターズ社」が特許・商標を持ち、国際通信規格「ISO14443TypeA」に準拠したシステムです。固有製造番号はUID(Unique Identification)と呼ばれており、英数字8桁で成り立っています。非接触型のICカードを専用のリーダーにかざすことで番号を読み取り、個々を判別し、不正利用を防ぎます。世界中で、会員カードやカードキー、交通系ICカード、電子マネーなど、多くの場面で使われています。日本では、カード認証のほかタバコを購入する際の成人識別ICカード「taspo(タスポ)」にMIFAREが採用されています。MIFAREは、機能を簡素化し大量生産を行うことにより、低価格化を実現しています。タイプ別にセキュリティレベルが違い、用途に応じて選択することが可能なので、カード認証として使用する際も自社に合ったタイプを選べます。セキュリティとは不正から情報を守る安全性のことをいいます。セキュリティレベルを下げて、より低価格にしたウルトラライトから、強力なセキュリティ機能を搭載したデスファイアまで5つの種類があります。MIFAREは、通信距離が100mm程度と長いので、認証機器に密着させることなくかざすのみで利用ができます。物理的に軽く、誰でも簡単に利用できるのでカード認証に適しています。一般的に、通信距離がFeliCaよりも長いとされています。
カード認証におけるMIFAREの種類は、MIFAREクラシック、MIFAREウルトラライト、MIFAREウルトラライトC、MIFAREデスファイア、MIFAREプラスの5つです。MIFAREクラシックは、カード認証システムのなかでも、世界各国で使用されている最もメジャーなICチップです。日本では、日本の規格であるFeliCaが普及していますが、世界的認知度はMIFAREの方が高く、世界中で広く利用されています。メモリの容量の違いで1Kと4Kがあり、必要なメモリによって使い分けができます。MIFAREクラシック1Kは、日本国内でも、入手性、認知度が共に高く、対応しているリーダーも多いため、使い勝手が良いのが特徴です。さらに、セキュリティ面でも安心な上に、価格が安価なのも世界各国で利用されている大きな理由といえます。カード認証には1番適したMIFAREです。MIFAREクラシック4Kは、データをICカードに保管する場合など、多くのメモリが必要な時に利用価値があります。1Kに比べると、国内での認知度はそれほど高くなく、対応するリーダーは多くありません。セキュリティ面に優れていますが、入手性が低く高額な傾向にあります。MIFAREウルトラライトは、MIFAREクラシックからセキュリティ機能を除いた簡易版で、メモリ容量も64バイトまで削減しています。低価格なため、会員証、電子チケットなどの使い捨てチケットに利用されています。国内認知度が高く、対応するリーダライタも多めで、入手性も良いので、セキュリティ面さえ拘らないのであれば非常に使い勝手の良いカードといえます。
MIFAREウルトラライトCは、3DES鍵での認証が搭載され、セキュリティ面で優れているため安心して利用できます。対応するリーダライタが少ないことや価格が比較的高価であること、入手性が低いことなどを差し引いても、セキュリティ対策を重視したいならば、利用価値のあるカードです。MIFAREデスファイアは、トリプルDES認証を使用しているため、MIFAREシリーズのなかでも、セキュリティ機能に優れているといえます。ほかにも、国際規格のISO/IEC 14443-3,4、NFCフォーラム Type 4に準拠しており、交通券はもとより、国によってはパスポートなどに採用されています。カード内のアプリやファイルの設定が多少難解ではあるものの、知識さえあればメモリ構造をカスタマイズできるので、さまざまなシステムに柔軟に対応できます。拡張性と信頼性の高さが特徴です。MIFAREプラスは、MIFAREクラシックと互換性があり、リーダライタも同じもので対応可能です。使い勝手に加えて、AES暗号による高いセキュリティ機能が特徴です。次世代のカード認証システムといわれており、将来的にはMIFAREクラシックからの移行で、ますますの利用増加が見込まれています。高額ではありますが、基本的にMIFAREクラシックとメモリ構成が同様なので、移行期でも利用が可能です。カード認証システムの利用を止めずに移行できるのは魅力です。
MIFAREをカード認証に使うと、重くてかさばる鍵を持ち歩かずに済むということと、社員証と入退室管理、勤怠管理などをまとめて管理できます。運用規模も選ばず、カード認証速度も速いので、MIFAREのカード認証システムを社員証に採用する大企業も多くあります。通信速度が速く高セキュリティのMIFAREデスファイアやMIFAREプラスは、金融機関や個人情報を取り扱う企業で、信頼性の高いカード認証として使用されることがあります。MIFARE購入は、MIFAREのカードとして販売されていても、別のICチップが使用されているものが多数存在し、性能面でMIFAREと同等とは限らないので注意してください。NFC対応のスマートフォンで、本物のMIFAREかどうかを調べることができます。「NFC TagInfo by NXP」というNXP社のスマートフォンアプリをダウンロードし、カードをかざします。ICmanufacture(製造メーカー)の欄にNXP Semiconductors、ICtypeの欄にMIFARE~と表示されれば本物のMIFAREです。一方で、ICmanufacture(製造メーカー)の欄にUnknown manufacture、ICtypeの欄にUnknown MIFARE~と表示されればMIFARE以外のICチップなのがわかります。