MIWA(みわ)
昭和20年に創業したMIWAは、半世紀以上の歴史を持つ老舗の鍵メーカーです。MIWAは東京港区に本社を置き、北陸や中部、横浜、関西、九州の5か所に支店を置いています。MIWAは、国内5か所と海外1か所に営業所を持ちます。MIWAが認定したサービス代行店(SD)は約740あり、錠前のメンテナンスや純正キーの複製、セキュリティ機器の相談が可能です。国内の建築用錠前の60%以上はMIWA製品といわれ、公共施設やオフィスから一般家庭まで幅広く使用されています。国外50か国でもMIWAの鍵は販売されています。1990年代から2000年代に多発したピッキング被害を受け、MIWAは2001年に、かつて広く普及したディスクシリンダー錠の製造を中止しています。現在MIWAはピッキングに弱い構造であったディスクシリンダー錠を改良したU9をはじめ、PRやLB、JNといった種類のシリンダーを取り扱っています。
U9シリンダーは、MIWAを代表するシリンダー錠として現在多くの住宅で採用されています。MIWAのU9シリンダーは、切り込みの深さが4段に変化する9枚のタンブラーが9列に配置しています。正しい鍵を差すとタンブラーがロッキングバーに作られた溝にはまるように回転し解錠する仕組みです。鍵違い数は約1億5,000万を実現し、耐ピッキング性能10分以上と高い防犯性能を維持しています。比較的安価でありながら、耐摩耗性に優れるリン青銅製のタンブラーの使用でシリンダーの寿命を長くし、コストパフォーマンスを高めた製品です。
PRシリンダーには、すべてのタンブラーが同時に溝にはまって回転するロッキングバーにプラスして、複雑な形状のアンチピッキングタンブラーの仕組みが用いられています。4段に変化するメインタングラーと、2段に変化するサイドタンブラーが11枚11列で配置され、1,000億通りの鍵違い数を実現しています。MIWAのPRシリンダーは、タンブラーがメインとサイドの2重仕様と複雑なため、複製が非常に困難です。シリンダー内部には高い硬度を持つ部品を複数採用しているため、ドリルでの攻撃にも高い耐性を発揮します。
賃貸向けのMIWAのLBシリンダーは、可変タンブラーシリンダーです。入居者変化や鍵を紛失した際に、シリンダー交換なしで前の鍵から新しい鍵へ移行できるチェンジキーシステムを搭載しています。鍵違い数は約261億通りで、対ピッキング性能は10分以上です。MIWAのLBシリンダーの断面は、インラインとディンプルを組み合わせた複雑なデザインがほどこされています。加工に高い精度が必要なため、MIWA以外での鍵複製ができないシリンダーです。
ほかにも、MIWAにはJNシリンダーがあります。4段に変化する水平ピン11本を2列、2段に変化する斜めピン10本を2列に配置した計21本の組み合わせで、約172億の鍵違い数を実現しています。MIWAのJNシリンダーはリバーシブルキーのため、挿入時に向きを気にせず使用できます。鍵の差し込み口がスリバチ形状なので、暗い場所でも迷うことなく差し込めるのがメリットです。MIWAのJNシリンダーはすべてのタンブラーがステンレス製のため、耐摩耗性や耐久性に優れ使用頻度の高い玄関にも導入可能です。
MIWAは、防犯性だけでなく利便性やデザイン性を兼ね備えた製品を発表しています。例えばMIWAの「PiACK II smart」は、2017年のグッドデザイン賞を受賞しています。電池式のスマートロックのPiACK II smartは玄関扉に設置した機器と、スマートフォンにインストールした専用アプリ、KEYMO NEOを連動させることでスマートフォンによる扉の解錠を可能にした製品です。MIWAのPiACK II smartでは、使用環境や利用者によってスマートフォン以外にも暗証番号を入力するテンキー方式、鍵が一体となったキーヘッドなどから認証方法が選択可能で、鍵穴部分についたカバーを外すと物理的な鍵も使えます。
IoTシステムの開発に力を入れている点も、MIWAの特徴と言えます。MIWAは2017年に、日本ではじめてとなる電気錠専用のワイヤレスリモートシステム「wiremo(ワイレモ)」を発売しています。MIWAの「wiremo(ワイレモ)」を利用すると、スマートフォンを使って家のなかや外から電気錠扉の施解錠や開閉状態の確認ができます。ハンズフリーシステムのRaccessキーを採用した電気錠、iEL(アイイーエル)に対応しています。無線ルーターと遠隔操作用の専用機器、スマートフォンをインターネット上でつなげワイヤレス使用を可能にしています。MIWAのwiremo には、解錠状態が続いた場合にメール通知が届く機能があるため、扉を締め忘れたか気になる際にすぐに対処でき空き巣被害の原因で多い無締まりを防止します。MIWAのwiremoには、家の外から操作できる宅外モードと、自宅内で操作できる宅内モードがあります。宅内モードではオプション品のリモコンやスマートフォンで、玄関から離れた部屋からでも扉の施解錠や状態確認ができます。無線ルーターの電波範囲が変わると宅外モードから、家の中で操作できる宅内モードへ切り替え可能です。MIWAはwiremoのようなIoTシステムを構築することで、ご年配の方や療養中の方の暮らしも便利にしています。