TEL0120-69-0569年中無休・24時間受付

パニックオープン(ぱにっくおーぷん)

パニックオープンとは「非常時解錠システム」のことで、地震や火災などの災害時に、火災報知設備などから信号を受けて、自動ドアや電気錠など電気で制御されている設備を自動的に解錠、開放するシステムです。パニックオープンは災害時に非常に重要な役割を持っています。商業施設やビルなどで災害が起きた場合、多くの人が一斉に外へ逃げようとします。しかし避難の途中で扉が開かないという事態になると、逃げ遅れてしまいます。この危険をさけるため大切な機能がパニックオープンです。パニックオープンの機能が作動すると、設定されたすべての電気錠、電子錠が一斉解錠され、自動ドアは開放されます。それにより避難経路が確保され、多くの人が滞りなく避難することができます。また、パニックオープンは外からの救命活動にも非常に有効です。たとえば、火災が起こった建物に救助活動で入るという場合、建物の電気錠や自動ドアがすべて開放されていれば、消防隊員などが、すみやかに建物のなかに入ることができます。その結果、被害を少しでも減らすことができます。
 
パニックオープン機能は、自動火災報知機、煙感知器、感震器などと、電気錠制御盤を通信線で接続し、電気錠と連動させることが必要です。パニックオープン機能が作動する手順としては、たとえば火災発生時などに、火災報知器や、警報装置を押すことで発信された信号を火災受信機が感知し、続いて火災受信機の移報接点が電気錠制御盤に信号を送ります。通常は電気錠制御盤には無電圧接点といい電圧がかかっていませんが、信号を受信すると電気錠制御盤の端子に電圧がかかり、電気錠が解錠されます。自動ドアの場合は扉が開き、その後は閉まることなく開放されたままの状態になります。停電が起きたときは、速やかに非常電源に切り替わり、パニックオープンの機能はそのまま保たれます。パニックオープンの機能に加え、火災受信機内の移報接点からの信号で、警備会社への通報や、エレベーターを直近の階または1階で停め開放する、などの安全確保が行われます。
 
復旧する際は、火災受信機の停止ボタンで警報音を止め、次に復旧ボタンで設備異常情報を消去します。復旧が完了された時点で解錠されていた扉は再び施錠されます。パニックオープン機能が使われている施設の例としては、高齢者施設、病院、官公庁舎、オフィスビル、商業施設、学校、工場、金融機関、研究所、集合住宅などの施設で利用されています。いずれも多くの人が集まる施設であり、パニックオープンは非常時に欠かすことのできない重要な機能であることがわかります。パニックオープンにするため、電気錠にする扉は施設ごとに考慮する必要があります。たとえば、マンションなどの集合住宅の場合、メインエントランスにある自動ドアや自転車置き場付近の扉などは避難経路になるので、電気錠でパニックオープンにします。また、管理人室には火災受信機が設置されているため、消防隊員が速やかに入れるようにパニックオープンにしておく必要があります。もうひとつの例として、病院などはメインエントランスや夜間通用口、病院内の避難経路にある扉もパニックオープンにします。既存のシステムを新しいものに変えるタイミングで電気錠にパニックオープン機能を付けるようにすることも大切です。また、パニックオープンになっていない扉には、後付けで避難時に室内から解錠できる緊急解錠ボタンを設置しておくと良いです。その場合は、避難時に緊急解錠ボタンを押し解錠し、パニックオープン復旧時に手動で元に戻す必要があります。
 
パニックオープンとは逆に、自動的に施錠する機能を「パニッククローズ」と呼びます。パニッククローズは、延焼や煙の蔓延を防ぐ防火壁として利用することが想定される個所に設定されます。
パニックオープンは、避難には大変重要な機能ですが、開け放たれたドアが炎や煙を広げてしまう可能性もあります。したがって、パニックオープン機能を使った避難時、扉によっては施錠したほうが良い場合もあるため、ドアごとに施錠するか解錠するかの設定を行うこともあります。避難時、ドアがパニッククローズされた場合は、近くの誘導灯を見つけて、あらかじめ設計された避難経路に進みます。
 
パニックオープンが誤作動し、災害が発生していないのに自動ドアや電気錠が解錠されてしまう場合は、火災受信機や感知器、電気錠制御盤などの故障や不良、電源の異常や停電などが原因のことがあります。パニックオープンを非常時、正常に機能させるためには定期的な点検が不可欠です。
消防検査の際に、パニックオープン機能の検査を行います。火災受信機のテストボタンを押したとき、警報とともに電気錠や自動ドアが開くことを確認していきます。同時に火災報知機など感知器と、火災受信機が連動していること、各装置に異臭、発熱がないか、また配線の状態なども確認します。

お問い合わせ・お見積りはカギ舎へ!