共連れ（ともづれ）
共連れとは、入退室時に1回の認証で、2人以上が同時に出入りすることをいいます。入退室管理においてICカードなどで認証を許可されている人が、ドアやゲートを開くのに乗じて、許可を得ていない人が駆け込んで入室する行為を指します。たとえば、マンションの入居者がオートロックを解除してドアを開けたときに、関係のない第三者が入居者を装い一緒に侵入することがあります。自動ドアのオートロックでは、解除後にドアが少しの間開いたままになり、閉まりかけても近づくとまた開く仕組みを利用して、不審者や勧誘業者が不正に侵入するケースも考えられます。共連れを防止するには、オートロックを解除する際に、後ろからついてくる人がいないか、周囲に不審な人物がいないか確認することが大切です。一緒に入ろうとする不審な人物がいる場合は、電話をかけるふりなどをして、オートロックを解除するタイミングをずらすのもひとつの方法です。
オフィスの機密情報を扱う入退室管理区域への共連れは、部外者によるシステムの不正アクセスや情報漏洩などのリスクが高いため問題視されています。たとえば、ICカードによる認証が必要な入退室管理区域の出入口で、ICカードを持つ社員が意図的に部外者を引き入れる共連れや、部外者が認証許可された社員のすぐ後ろについて不正に通り抜ける共連れは、セキュリティ関連の事件や事故につながる可能性があります。このような共連れを防止するには、入退室管理区域の出入口に警備員を配置して目視でチェックする方法や、社員に入退室管理のルールなどのセキュリティ教育を徹底する方法があります。そのほかに、入退室管理システムaccess controlの機能で、共連れ防止とセキュリティ強化を同時に行います。
オフィスにおける共連れ防止対策として「セキュリティゲート」「アンチパスパック」「監視カメラや画像解析」を取り入れることで効果が期待できます。セキュリティゲートは、IDカード認証や生体認証を用いた入退室管理access controlで認証された人だけの通行を許可する装置で、1回の認証につき1人が通行できるよう物理的に通行を制限し共連れを防止します。駅の改札口に設置されているようなバーが開くフラッパータイプや、ドアが回転するロータリーゲートタイプ、ドアが二重になっていて中間区画に2人以上の人がいると反対側のドアが開かない、インターロックゲートタイプがあります。目的や環境に合わせたタイプを設置することが可能です。セキュリティゲートは、通行検知センサーと共連れ防止の物理的な構造を備え、セキュリティレベルの高い区域の入退室管理に有益な設備といえます。これらのゲートを導入する際のイニシャルコストは高額になるケースもあるので、専門業社と現地調査をして、適切な箇所に取り付けることが大切です。
入退室管理システムaccess controlのひとつにアンチパスパックという機能があります。アンチパスパックとは、入室側と退室側にカードリーダーを設置して、入室時のID認証記録がないと退室を許可しない仕組みのことをいいます。入室よりも退室を厳しく管理し、万が一、不審者が入室しても退室を禁止して共連れによる情報漏洩などの事故を防ぎます。アンチパスパックでは、入退室管理のID認証で入室した人のあとに続いて認証していない人が共連れ入室した場合、後に入室した人は入室記録が残っていないため、不正侵入者として退室を禁止します。不正侵入者は警備室にアラームで報告され、警備員が駆けつけて入室の目的を確認できます。入室の際に認証を失念していまい、結果的に共連れになってしまう場合や、誰かが退室した際に便乗して入室する共連れの逆パターンもあります。これらの場合も、どちらも入室記録がないために退室は禁止されます。アンチパスパックは、入退室管理システムの標準機能として備わっていることが多く、認証リーダー以外に必要な機器がないため導入しやすいといえます。ただし、共連れで入室できるように共連れでの退室も可能なため、アンチパスパックで完全に共連れを防止できるわけではありません。アンチパスパックを周知して共連れしにくくする心理的効果や、入退室管理のルールを徹底させることが大切です。
監視カメラは、入退室の映像を記録する装置で、映像データは共連れの証拠映像としても使えます。監視カメラを設置することは、部外者や不審者に見られていることを意識させ、共連れや犯罪の抑止力を高める効果が期待できます。画像解析機能を備えていて通過人数を検出することができ、共連れを発見した際にはアラームで警備室やオフィスに通知します。ただし、朝夕などの混雑時には、画像解析が困難になることがあるため、確実にアラームを鳴らすことが難しくなる点は注意が必要です。アラームが鳴ってすぐに駆けつけることが難しい場合に備え、アンチパスパックと監視カメラを組み合わせると、共連れが発生しても不審者の退室を禁止して証拠として残せます。
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