鍵開けや鍵交換における悪質業者の実態
皆さんは鍵交換や鍵開けなどを業者に頼みたいとき、どのようにして探していますか。多くの人がインターネットを使って鍵交換ができる業者を探しているのではないでしょうか。インターネット上には鍵交換をしてくれる業者のホームページが数多くありますが、その中には悪質な業者も存在します。過去には、業者の中で悪質な鍵トラブルを起こして行政処分を受けた会社もあります。今回は、悪質な鍵業者の手口やトラブル事例、信頼できる鍵業者を見分けるポイント、悪質な鍵業者と契約してしまったときの対応について解説します。鍵交換で悪質な業者に騙されないためにもぜひ最後までお読みください。
◎悪質な業者の手口
悪質な業者の手口のひとつは、鍵交換などの作業依頼や問い合わせを受けたときに、はっきりとした金額を提示しないことです。ホームページでは「鍵交換5,000円~」のように安価な価格を表示して、いかにも5,000円程度で鍵交換ができるように思わせます。しかし「~」とつけて上限価格を書いていないので、現地では高額な鍵交換の料金を提示されることが多いのです。このような悪質な業者は事前に電話で問い合わせをしても、「実際に見なければわからない」などとごまかして金額をはっきりさせずに、訪問しようとする傾向にあります。そして訪問した業者が安い価格で見積もりをしたとしても、鍵交換の作業後に高額な請求をされることもあります。最初の鍵交換の見積もりでは鍵本体の料金だけを伝えておき、作業後に「鍵交換費」「出張費」「時間外料金」などと明細を追加して高額にすることがあるからです。また最初に高額な鍵交換の見積書を出しておき、高いからと鍵交換を断れば「キャンセル料」や「出張費」を要求する悪質な手口もあります。このように金額をあいまいにしておいて、理由をつけては高額請求をする悪質な業者は依頼者の承諾を得ずにとにかく作業を開始しようとする場合が多いので注意が必要です。悪質な業者のなかには、「できないふりをして新品に鍵交換させる」という手口もあります。たとえば鍵開けを依頼した場合、作業前に「このタイプの鍵は難しいから鍵開けできるかどうかはわかりません」などと言っておき「やっぱり鍵開けは無理だったので破壊して開けます」と鍵を壊して解錠します。実際は鍵開けができるにもかかわらず、わざと壊して鍵交換に持ち込み高額請求をする非常に悪質な手口です。また依頼者の不安をあおって鍵交換をさせようとする悪質な業者もいます。たとえば「いま鍵交換をしないと、すぐに鍵が壊れて使えなくなりますよ」「この鍵は古いからすぐに鍵交換をしないと空き巣に狙われますよ」などと不安にさせて鍵交換に持ち込みます。このような場合は安易に契約せずに、別の鍵業者にも見てもらって鍵交換の必要性があるかどうかを確認するようにしてください。

◎処分の対象となった悪質な鍵業者のトラブル事例
特定商取引法に違反したとして、過去に悪質な鍵業者が6カ月の業務停止命令という行政処分を受けました。消費生活センターに寄せられたその業者に対しての全国の相談件数は2017年4月以降だけでも2,200件以上あり、消費者庁ではインターネットで鍵業者を検索する際は十分に注意するようにとも呼びかけていました。そのときに行政処分の対象となった悪質な業者の鍵トラブル事例は次のようなものです。
○事例1 クーリング・オフについてのウソと返金拒否
自宅の鍵を失くしたAさんはインターネットで探した鍵業者に、鍵開けをしてもらおうと電話で問い合わせをしました。電話では鍵開けの料金については明確に返答をされませんでしたが、Aさんはホームページに表示されていた「4,980円~」という安価な金額を見ていたので、たとえ高くても2万円程度までなら鍵開けを依頼するつもりで、その業者に訪問を依頼しました。実際に訪問した業者は4,980円どころか鍵開けの料金を10万円以上だと告げますが、Aさんはその価格で契約をしてしまいます。しかし自分の親族から10万円は高いのではないかと指摘されたAさんは、4日後にクーリング・オフを行いました。ところが業者の返答は「クーリング・オフは受け付けられない形になってしまう」「クーリング・オフは難しい」などと、まるでクーリング・オフができないかのようなものでした。さらに、Aさんがクーリング・オフをしていたにもかかわらず、その2か月後にはAさんが支払っていた10万円の一部を「解決金」として返金することで合意させ残金を1年以上返金しなかったという非常に悪質なトラブルです。
○事例2 クーリング・オフについてのウソ
車の鍵を失くしたBさんはインターネットで見つけた鍵業者に車の鍵作製について電話で問い合わせを行いましたが、業者は「2~3万円が目安だが現地で見積もりをしなければわからない」と具体的な金額を提示しませんでした。Bさんは目安だと言われた2~3万円程度で鍵の作製をしてもらうつもりで業者に訪問を依頼することにしました。ところがBさんの元を訪れた業者は、鍵の作製にかかる金額が10万円以上だと告げ、Bさんはその金額で契約をしてしまいます。Bさんはその3日後にクーリング・オフを行い、さらに業者へ電話で問い合わせをしましたが、業者は「お客様から依頼があって訪問しているのでクーリング・オフは難しい」「当社としてはクーリング・オフを受け付けられない形になっている」などと、まるでクーリング・オフができないかのように返答しました。「クーリング・オフ」の消費者から訪問を求めた場合には認められないという条件を悪用して業者は「依頼されて訪問したからクーリング・オフの適用外だ」と言ったのです。しかし「ホームページで安価な金額を見ていて、その金額のつもりだった」のように、消費者が高額な作業料金を想定していなかった場合にはクーリング・オフは認められます。
○事例3 クーリング・オフを長期間にわたり妨害
自宅の鍵を失くしたCさんは、インターネットで探した鍵業者に電話で鍵開けについての問い合わせをしましたが、その電話では「現地で詳しい金額を提示する」としか言われず具体的な金額を教えてもらえませんでした。Cさんはそのときに持ち合わせていた3万円を超えないくらいの料金なら鍵開けをしてもらおうと思い、業者に訪問を依頼しました。その後自宅を訪問した業者は10万円以上の料金での鍵開けをCさんに勧誘し、Cさんはその金額で契約をしてしまいます。しかし親族より契約した価格が高額であると指摘されたCさんは7日後にクーリング・オフを行いました。その後、業者に対してクーリング・オフを求めるも「クーリング・オフはお客様ご依頼の場合は、うちでは受け付けられない」「お客様の要請によって訪問しているのでクーリング・オフの適用外になる」などと、消費者から訪問依頼をしているからクーリング・オフの適用外となるので応じられないとの主張を1カ月半もの長期にわたり続けてクーリング・オフを妨害しました。

◎信頼できる鍵業者を見分けるポイント
悪質な鍵業者に騙されてしまうと、鍵交換などで必要以上に高額な料金を請求されたり、まだ使える鍵を新品に鍵交換されたりなどの被害にあう恐れがあります。そこで鍵交換などを依頼するときに悪質な業者を見極めて信頼できる業者を選ぶポイントについて解説します。業者を探す際にはインターネットを利用する人が多いと思いますが、まずホームページに業者の基本情報がしっかりと記載されているかを確認しましょう。悪質な業者は顧客からのクレームが多いので、クレームを受け付けないために住所や電話番号の記載をしていません。もしも鍵交換を依頼しようと思った会社のホームページで会社概要の欄に、住所や電話番号、代表者名などが記載されておらず、「トラブルがあったときに連絡がとれないな」と感じたら、そこは悪質な業者の可能性もあるので鍵交換などの依頼はやめておきましょう。鍵交換の見積もりを依頼するときには、見積もりが無料であるかどうかの確認もしてください。一般的には見積もりだけは無料であることがほとんどですが、悪質な業者は見積もりした後に鍵交換を断ると「見積もり料金」や「キャンセル料」を要求することがあります。鍵交換を依頼するときは見積もりに費用がかかるかどうかの確認をしたうえで、できれば「見積もり金額次第では依頼しないことがある」と伝えておくと安心です。もしも時間的に余裕があれば、複数の業者から鍵交換の相見積もりをとることをおすすめします。鍵交換費用の相場がわかるので、あまりにも高い鍵交換料金や極端に安い鍵交換料金の業者を避けられます。悪質な業者の手口は安い価格を表示しておき、後から高額請求をするケースが多いので、ほかの見積もりと比較して「鍵交換の費用は安いけれども作業内容に不足がある」ところは選ばないようにしましょう。業者を選定したら、鍵交換をする前に明確な見積もりをしてくれるかどうかを確認してください。悪質な業者は鍵交換などの見積もり内容が不明瞭で、鍵交換の作業をした後からいろいろな理由をつけて高額請求をしようとします。信頼できる業者の見積もりは、鍵交換の商品代や作業費、出張料、時間外料金など明確になっており不明点などがあれば、依頼者が納得するまで鍵交換の作業に入る前に説明をしてくれます。また鍵交換の作業中に見積もりにない作業が突発的に起こった場合には、追加される作業やその料金についてしっかりと説明してくれるのが信頼できる業者です。悪質な業者は、鍵交換が終わった後から「●●を追加で作業しました」などと言って追加料金を請求することがあります。信頼できる業者かどうかを見分けるには、従業員の言葉遣いや態度などの接客マナーもポイントです。悪質な業者は、作業員に不明点を訪ねたりキャンセルをしたりすると、急に強い口調で威圧する人もいるので、高圧的なところがないか、言葉遣いが丁寧かなどを確認しておきましょう。そして、鍵交換のアフターサービスが充実しているところは信頼できる鍵業者です。鍵交換などの作業後に不具合が起こることもありますが、一定の保証期間があってすぐに修理などの対応をしてくれる業者が信頼できます。悪質な業者は保証期間がないうえに、たとえ鍵交換したばかりの鍵に不具合が起こっても別途修理代を請求してくることもあるので、アフターサービスの有無の確認は重要です。
◎悪質な鍵業者に高額請求をされてしまったとき
悪質な鍵業者に鍵交換を依頼して、万が一高額請求をされてしまった場合の対処法についてご説明します。業者に言われるままに請求された金額を支払わず、まずは落ち着いて、作業内容や請求金額の内訳などを確認しましょう。そのうえで、納得のいかない点があればしっかりと説明を求め、納得するまでは支払う意思がないことを伝えてください。悪質な業者の場合は、十分な説明ができないので引き下がることもあります。もしも、その場で高額な鍵交換料金を支払ってしまった場合には、「クーリング・オフ制度」を利用しましょう。クーリング・オフとは「訪問販売による取引は契約書面を受け取った日から8日間以内であれば、原則として無条件で契約解除ができる」制度です。訪問販売であっても鍵交換のように消費者が事業者の訪問を求めた場合はクーリング・オフが認められないことがあります。しかしホームページなど広告の鍵交換の表示額と実際の鍵交換の請求額が大きく異なっていたり、鍵交換の見積もりを目的として訪問依頼をした業者とその場で契約したりした場合などはクーリング・オフの適用範囲となることもあるため、あきらめてはいけません。そして悪質な業者との間でトラブルが起こったときに、自分ひとりで対処をし続けるとさらに深刻な事態に発展する恐れもあるので、消費生活センターなど専門の機関に相談することもおすすめです。消費生活センターなどの機関では、消費者からの相談を受け付け専門の相談員が公正な立場で処理にあたり、場合によっては直接業者とやり取りをしてくれることもあります。どこの消費生活センターに相談してよいかわからない場合は、日本全国で近くの相談窓口を案内してくれる消費者ホットライン「局番なしの188(いやや!)番」があるので、まずはそこへ電話してみましょう。

◎まとめ
鍵交換や鍵開けなどで、悪質な鍵業者に依頼をしてしまうと、後から高額な請求をされるなどの被害にあう恐れがあります。悪質な業者の特徴には「金額があいまい」「すぐに作業をしたがる」「説明が不十分」などがあるので十分に注意をし、信頼できる鍵業者を見分けることが重要です。カギ舎は見積もり第一主義で、最初の見積金額以上のご請求をすることがありません。鍵交換の際は、お客様にしっかりと作業内容や料金を説明のうえ、ご了承いただいてから鍵交換の作業をいたします。また東京商工会議所・杉並警察署ビル防犯協会の会員なので、利益のみを追求することがない安心・信頼の鍵業者です。もちろん見積もりやご相談だけでも無料なので、鍵交換や鍵開けなどで悪質な鍵業者に騙されたくないと思っている方は、カギ舎までお問い合わせください。