ドアノブの仕組みと修理・交換が必要になる事象
毎日当たり前に使用しているドアノブですが、長年使用していると故障や不具合が発生します。ドアは防犯的な意味合いも強いため、ドアノブの不具合でドアが閉まらない、またはドアノブが破損してしまうと、セキュリティの面で大きな支障がでます。ドアノブの仕組みを把握することで、トラブルを最低限に抑えられます。この記事では、ドアノブの仕組みや種類、ドアノブの故障時の修理や交換をしている業者の選び方をご紹介します。
◎ドアノブの仕組み
ドアノブは、大きく分けて4つのパーツにより構成されています。「ノブ」とは手で回したり種類によっては押し引きする、取手の部分を指します。ドアを開け閉めする上で重要な役割を持ち、大別すると手で回す「回転ノブ」と、引っ張るとドアが開く「引き出しノブ」の2種類があります。ドアノブの種類によっては、回転ノブと引き出しノブが組み合わされた「回転・引き出しノブ」や、ノブを回すとロックされる「回転式ロックノブ」などもあり、最近ではバリエーションが増えています。「丸座」は、ノブとドアの設置部分に取り付けられており、ノブをドアに固定する上で重要な役割を担っています。ドアの外側から見えている部分で、ドアに空けた穴に取り付けます。「座金」は、丸座とドアの接合部に、丸座とドアの間に隙間が生じないように設置しますが、実際にはノブと丸座の間に挟み込んで取り付けます。正しく設置された座金は、ドアノブの安定性を高め、スムーズな開閉を可能にします。「ラッチ」は、ドアの開閉を制御するために部品で、ドアの閉じた状態を保つ必要不可欠な部品です。ドアを開く際にドアノブを回すことで、ラッチが解除されドアが開く仕組みになっています。一部のドアノブのラッチでは、鍵の付いた機能が組み込まれており、ドアのロックを解除するために使用されています。
◎ドアノブの種類
ドアノブはバリエーション豊富な種類があり、開閉の動作も異なるさまざまなタイプのものがでています。昭和期に主流で使用されていたのが「握り玉」タイプで、球形の取っ手がついた形状のドアノブで、古典的なタイプのドアノブです。握り玉タイプのドアノブは、手にしっかりフィットし開閉が容易であるため、築年数古いマンションやトイレ、勝手口などのさまざまな場所のドアノブとして利用されています。「レバーハンドル」タイプは、近年の住宅によく見られる棒状の取っ手がついた形状のドアノブのことを指します。握りやすく開閉が容易であるため、子どもやご高齢の方でも使用しやすいことが特徴です。曲線的な形状で指をかけやすい設計になっているため、手首の負担が少なく複数回使用しても疲れにくいという利点があります。マンションや戸建ての住宅の玄関などに、多く使用されているのが「プッシュプルハンドル」タイプのドアノブです。プッシュプルハンドルタイプは、ドアを開ける際に押したり引いたりすることで解除するタイプのドアノブで、片手が塞がっている状態でも簡単にドアを開けられます。一般的な錠前は、ドアノブを回す、押すといった2つの動作が必要です。一方でプッシュハンドルタイプは押して引くだけのワンアクションで開閉を行えるため、重い荷物を持っているときや、車椅子の方でも使用しやすく利便性が高いタイプといえます。「サムラッチハンドル」は、1世代昔の住宅の玄関などに多く設置されているタイプのドアノブです。取っ手の上部にあるつまみを親指で押して開ける仕組みになっています。ドアを閉めるときは、ドアの内側のサムターンと呼ばれる取っ手を回して施錠し、ドアを開けるときにはサムターンを回して施錠を解除します。サムラッチハンドルは、一般的にドアノブとしての操作性とロック機能を備えているため、利便性とセキュリティ性を兼ね備えたドアノブといえます。

◎ドアノブの修理・交換が必要な事象
ドアノブの交換目安は10〜15年といわれており、長期的に使用することで修理や交換が必要な場合があります。ドアノブの修理が多い事例としてドアノブのネジの緩みがあげられます。ドアノブのネジが緩んでしまうと、閉めたり開けたりする際にドアノブがぐらつき、最悪の場合はドアノブが取れてしまうことがあるので、修理が必要な場合は早めに対処しましょう。修理や交換が必要な例として「ドアノブが回らない・空回りする」といった症状があります。ドアノブが空回りしている場合、通常は内部の部品が破損している可能性もあります。一般的なドアノブの場合、内部には回転する軸とそれに取り付けられたレバーやプレートが設置されています。これらの部品がうまく連動しなくなると、ドアノブが回らなくなったり、空回りしたりすることがあります。内部の部品を修理または交換することで解決することがあるので、業者に相談しましょう。経年劣化により、ドアノブに錆が付着することがあります。とくに玄関の扉などは雨風に晒されるケースが多く、金属部品が水や湿気にさらされることが原因で錆が発生します。ドアノブが錆びることで操作感が悪くなり、不具合が起こり修理や交換が必要になることがあります。ドアノブの錆が深刻な場合や、ドアノブ全体が錆びてしまっている場合には、部品の交換が必要になることがあります。錆対策として錆の部分などに防錆剤を塗るなどで予防することも可能です。ほかにも鍵穴に異物が詰まったり、スムーズに鍵穴に鍵が入らないといったトラブルも発生します。鍵穴に鍵がスムーズに入らない場合、原因として鍵穴に異物が詰まっていることが多く、異物の種類によっても取り除く方法が異なります。自力で修理を行うと悪化することもあるので、プロの修理業者に修理や交換を相談するのも良いでしょう。プロによる修理・交換対応以外にも潤滑油を使用することで問題を解決することがあります。潤滑油を鍵穴に注ぎ、鍵を挿して数回回すと、異物が緩んで取り除きやすくなります。ドアノブの「腐敗」で交換が必要になるトラブルもあります。お風呂場などの湿度の高い場所にあるドアノブや使用頻度が高く、摩耗や劣化が進んだ場合などでドアノブが腐敗してしまう恐れがあります。ほかにも、屋外に設置されているドアノブの場合だと、紫外線によって塗装やプラスチック部分が劣化することでドアノブが腐敗してしまうことも考えられます。このようにさまざまな要因でドアノブが腐敗してしまうと、場合によっては修理や交換になることがあります。腐敗には日頃からのドアノブの水気を吹きとるなどの定期的なメンテナンスが重要となります。ドアノブの腐敗以外にも物理的にドアノブが破損してしまった場合は、修理や交換が必要です。長期的な使用によりドアノブが脆くなり破損する場合や、何かものがぶつかった衝撃でドアノブが外れるといったことが起きた場合は、業者に依頼して交換することを検討しましょう。破損が軽度な場合、修理で対応しますが、部品交換やドアノブそのものを交換になることもあります。適切で安全な使用の仕方、また定期的なメンテナンスを実行し長持ちするよう努めることが大切です。意外とあるケースとして、ドアノブのネジ穴が潰れてしまうことがあげられます。ドアノブを取り付ける際に力を入れすぎたり、長期間使用しているうちにねじ穴が摩耗してしまい、ねじ穴が潰れることがあります。ドアノブがしっかりと取り付けられなくなるため、ドアが開けられなくなる場合もあるので注意しましょう。ネジ穴が潰れてしまった場合、潰れた穴を拡張してより大きなねじを使用してドアノブをしっかりと取り付けることや、ドアノブの取り付ける位置を変更するなどで対応します。修理や交換の判断が自分でつけられない場合は、まず業者に相談することが的確です。

◎ドアノブの交換の際のポイント
ドアノブ交換の際に、ドアノブだけでなく扉そのものに不具合や故障がある場合は、修理対応ではなく扉そのものを交換することも視野に入れておきましょう。とくに、数十年同じ扉を使用し続けているのであれば、扉の交換を機に機能性の向上を図ることもできます。ドアノブ・扉交換を行うことで防犯性の向上が期待できます。最近の玄関ドアの場合は、高い耐久性と強力なロック機能を備えており、外部からの不正侵入を防止できます。ドアノブが多く使われている勝手口も同様で、扉そのものを交換することで防犯性を高めることにもつながります。ドアノブ・扉交換のもうひとつの効果は断熱性能の向上です。扉は断熱性能が高いものが多く、適切に断熱されたドアを取り付けることで、室内の温度を保ちやすくなり、冬場には暖房費の節約にもつながります。また扉の交換を機にドアノブの鍵を変更することでセキュリティ性能を向上させることも可能です。ドアノブ交換でセキュリティの高い鍵を使用すると、外部からの不正侵入や盗難の防止を強化できます。鍵にもいくつかの種類があり、一般的にディスクシリンダー鍵やディンプルシリンダー鍵などが主流となっています。ディスクシリンダー鍵は、鍵穴に鍵を差し込むとピンが沈み込むことで解除する鍵です。ディンプルシリンダー鍵は、鍵の突起が鍵穴のピンと合致することでドアを解除し、ディスクシリンダー鍵より高いセキュリティ性能を持つといわれています。場合によっては鍵の複製を制限することも可能なため、不正な鍵複製を防止することもできます。鍵交換をすると、ドア全体のセキュリティが強化されるため、総合的なセキュリティ性能を向上させることにつながります。

◎ドアノブ修理や交換に対応した優良業者の選び方
ドアノブの修理や交換は「建具屋」「リフォーム業者」「鍵屋」などの業者が対応します。建具屋は、基本的にドアや引き戸の修繕の対応を行なっています。建具全般に対応しており、ドアノブの修理や交換だけでなくドア全体やドア枠の修理も一括で依頼することが可能です。リフォーム業者も同様にドアノブの交換・修理・調整、鍵の修理や交換に対応しています。鍵の修理や交換をしている街の鍵屋では、ドアノブはもちろん、業者によっては、扉周りの修理や交換に対応しています。ドアノブが回らないなどで急を要する場合にも、地域の身近な存在である近くの鍵屋にすれば、スピーディーに対応することができます。扉の修理や交換ができる鍵屋では、ドアノブの修理や交換のほかにも、ドアノブに子どもがぶら下がってドアが傾いてしまったなど、ドアの蝶番の調整なども行うことが可能です。優良なドアノブ修理業者を見極める方法は、見積もりの内訳が詳細に書かれているか、出張費やキャンセル費用の有無やかかる費用など、さまざまな観点から総合的に検討しましょう。ドアノブの状態を現地で確認しなければ費用が明確にならない場合、そのままの状態で作業が進んでしまい、工事後にトラブルに巻き込まれないためにも、作業前に費用を明確にしておくことが大切です。見積もり発行後にキャンセルをするとキャンセル料がかかる業者もあるので、不明点は問い合わせ時に聞いておきましょう。近い業者に依頼をすればほとんど出張費はかかりませんが、距離によって費用を請求してくる業者もいます。ドアノブの修理や交換後にアフターサービスや保証などを行っていない業者では、施工直後に再び故障した場合、さらに費用がかかってしまう恐れがあります。また修理直後は正常に作動していても、少し時間が経つと原因不明の不具合がでてくるケースもあるため、施工後のトラブルを防止する観点からも、修理や交換後のアフターフォローが充実している業者を選びましょう。優良な業者では、製品と施工の保証期間がホームページに記載されています。
◎まとめ
ドアノブの故障などの不具合で修理や交換が必要な際に、ドアノブの仕組みや種類を知っておくことで、スムーズに対応できるでしょう。ドアノブの寿命は10〜15年とされており、日常では意識することが少なく、どのタイミングでドアノブのトラブルが発生するかわかりません。鍵の専門業者であるカギ舎では、ドアノブの修理や交換についての相談はもちろん、機能性を高める扉自体の交換についての相談にも対応しています。ドアノブや扉のことは、カギ舎へご一報ください。