カギと防犯メーカー美和ロック社の電気錠の仕組み
カギのトップメーカーである「美和ロック」の電気錠は住宅のみならず、オフィスやテナント、病院や介護施設といったさまざまな場所に導入されています。この記事では、美和ロックの電気錠の仕組みや構造についてご紹介していきます。
◎カギのトップメーカー美和ロック
1945年に設立されたカギと防犯のトップメーカー「美和ロック」。今では世界約50か国以上で製造・販売されています。美和ロックの製品で有名なのは、美和ロックのU9シリンダーです。ギザギザとした刻みが特徴的で、ピッキングするのに10分以上かかるため、空き巣被害にあいにくいといった防犯性にも優れています。トップメーカーとして走り続けてきた技術やノウハウ、最先端セキュリティ技術を駆使した美和ロックの製品は、多くのオフィスや建物に導入されています。昨今では、電気で扉を開閉できる仕組みの電気錠が美和ロックのカギのなかでも主流となっています。
◎美和ロック社の電気錠
電気錠とは、電気的に施錠・解錠するシステムを扉に組み込んだものをいいます。カギはサムターンを回して施錠・解錠するのが一般的ですが、電気錠はそれらの作業をすべて電気で動かします。錠を取り付けた扉と、電気で繋いだ操作盤のボタンを押すことで電気錠が作動する仕組みになっています。電気錠は引き戸や開き戸に加え、木製や鉄製など、種類や素材は選ばず、ほとんどの扉にも後付けが可能です。組み合わせるリーダーもさまざまで、非接触式やテンキー式、リモコン式といった種類があります。あらゆる扉に後付け可能で、利便性も高い電気錠ですが、停電した場合には操作ができなくなるため注意が必要です。停電時に外側から解錠する際は付属のカギが必要となり、内側から解錠するには、サムターンを回して開けることになります。美和ロックの製品で例をあげると、AUT(A)、APPT(A)、ASTシリーズは、停電時は扉が施錠する仕組みになっています。逆に停電時に解錠する仕組みの美和ロックの電気錠は、AUR(A)、APPR(A)、ASR、EMLといった製品になります。そのままの状態を保持する製品は美和ロックのAL3M、ALA、AFF、iELシリーズなので、美和ロックの電気錠導入を検討している方は、停電時の対応もしっかり確認しましょう。美和ロックの製品は、停電の際に注意が必要ですが、電子錠のように電池切れの心配がないのが大きなメリットです。ほかにも美和ロックの製品を導入することには多くのメリットがあります。まず一般的な金属のカギを持ち歩かなくて済むことがあげられます。お子さんやご高齢の方にカギを持たせるのが不安といった場合でも、美和ロックのテンキー式の電気錠を導入すれば、カギの紛失のリスクを減らすことができます。また、慌てて家を出て「カギを閉めたのか不安」といった経験をした方も少なくないでしょう。美和ロックの電気錠にはオートロック機能が搭載されているので、カギの閉め忘れの心配が軽減されます。美和ロックの電気錠は、耐久性も非常に高く、外見上、鍵穴がない製品もあるため、ピッキングを主とした空き巣の侵入を妨げることが可能です。美和ロックの電気錠はセキュリティ面でも大変効果的なメリットがあり、空き巣被害に合うリスクも大幅に下がります。美和ロックの電気錠を住宅に導入した場合、離れた場所から解錠できる仕組みもメリットのひとつです。「料理をしていて手が離せない」場合や、「足が不自由で玄関に行くまでに時間がかかる」といった方に、電気錠は大変利便性の高い製品です。リビングや2階の部屋に取り付けた電気錠操作ユニットもしくは電気操作押釦と連動させれば来客の際に急いで玄関に行くことなく、近くの場所から解錠が可能な仕組みとなります。住宅ではなくオフィスに電気錠を導入した場合、入退室管理ができる仕組みの製品が適しています。美和ロックからは、オフィス向け出入り管理システム「PicoA」が販売されています。美和ロックの「PicoA」は電気錠の機器を小型化した次世代の出入り管理システムです。電気錠の制御機能を扉内に設置し、電気錠・アダプター・カードリーダーを扉に取り付けることで本格的な入退室管理ができる仕組みとなっています。マンション専有部分の電気錠である美和ロックのインテリジェント電気錠「iEL」であれば、離れた場所からでもスマートフォンで扉の施錠・解錠状態の確認ができるwiremoシステムが導入できます。wiremoシステムを使用するには、DECT制御ボックスのCVEL-DECTや、無線ルーター、wiremoアプリが必要となります。美和ロックの電気錠は、各種センサーを組み合わせたセキュリティシステムにも応用されているため、あらゆるシーンで利便性を発揮しています。

◎美和ロックの電気錠の仕組み
美和ロックの電気錠は、「本体」「操作部」「制御部」から成り立っています。美和ロックの電気錠本体は、錠前のことを指します。通常の錠前と同じように取り付けが可能です。美和ロックの製品は内部構造にもさまざまな種類があります。まずひとつめはモーター式電気錠です。モーター式は、電流を通すとモーターが作動することで、扉の解錠・施錠を行う製品です。本締り錠のタイプと、鎌錠タイプがあり、玄関扉に使用されることが多いです。美和ロックの製品をあげると「AL4Mシリーズ」が最も新しい製品です。「インテリジェント電気錠」は、通信によって施錠・解錠を行う新しいタイプの電気錠です。美和ロックからは「IEVMシリーズ」や「IEDMシリーズ」が販売されています。不正解錠に対し高いセキュリティ性が保たれており、マンションのエントランスなどに導入されるケースが増えています。また、通電することにより施錠と解錠を繰り返す仕組みの「瞬時通電施解錠型」は、レバーハンドルや握り玉を備えたケースロックタイプです。美和ロックの製品には「AUSシリーズ」「ANSシリーズ」「ALAシリーズ」などがあります。そのほか、美和ロックの「ALGR」「ASR」などのシリーズは「通電時施錠型」です。こちらは電気が通ると施錠し、切れると解錠するタイプです。停電の際は自動で解錠され、通電するまで施錠できません。電磁石で作動する仕組みの「通電時解錠型」は、断線や停電で電気が途絶えると自動的に施錠状態になるため、緊急時や非常事態が予測される金融関係などに導入されています。美和ロックからは「ALGTシリーズ」「ASTシリーズ」「ASZシリーズ」などが販売されています。また、美和ロックのAUT(AUR)シリーズですと、通電時施錠型と通電時解錠型が切り替えられる製品があります。美和ロックの操作部は、電気錠の操作を行う部分のことで、遠隔から施錠・解錠をする場合のスイッチなどを指します。操作器にはさまざまな種類があります。大まかに分けると「暗証番号」「スマートロック」「生体認証」の3種類です。暗証番号は、錠前に付属されたテンキーにあらかじめ指定した数字を入力すると解錠できる仕組みとなっています。カギを持ち運ぶ必要がないため、カギの紛失の心配が軽減されます。テンキーの暗証番号部分が、使用するにつれて変色してしまうといった声が多かったため、タッチパネル式が主流となっています。美和ロックからは、TK4L・TKタッチパネルや、使用するたびに表示される数字の位置が変わるTKU-003などが販売されています。「スマートロック」は、リモコン型やICカード、タッチキー型、スマートフォンといったデバイスを指します。主流となっているタッチキー型は、ポケットやバッグに入れておくだけで扉の施錠・解錠が行えます。両手がふさがっている場合や、小さな子どもがいる家庭に大変便利な仕組みです。また、スマートフォンでの施錠・解錠はBluetoothを使用して開ける仕組みとなっています。アプリ内で操作が可能で大変利便性が高いため、今後さらに浸透していくことが見込まれます。美和ロックからは2021年9月に「Akerun.M」が発表されました。所有者だけが使用するわけではなく、用途に応じて来客者用にデジタルキーの発行も可能な仕組みを備えています。すでに6,000社以上のオフィスに導入されるなど、人気を博した電気錠となっています。生体認証での扉の解錠は、指紋や顔、声といった本人を特定することで解錠する仕組みになっています。オフィスやビルに導入されることが多く、セキュリティ面で非常に高く信頼されているシステムです。美和ロックの制御部は電気錠の心臓部とも言われており、電源の供給や施錠・解錠管理を行う重要な場所です。電気錠の操作盤で解錠の操作を行うと、その操作が制御盤へと伝わり、電気錠本体が解錠の動きをするといった仕組みです。操作部から送られてきた情報を、制御部に登録している情報と照合し、合致した時点で施錠・解錠が可能となります。インターホンシステムや、エレベーター、自動ドアといったさまざまな機器をシステムに組み込めるため、制御装置によって各機器への制御が可能となります。設置する電気錠の台数や、連動させる機器によって制御部分の種類が異なります。電気錠が1台、室内の操作器が1台でよければ、1回線の制御装置で済みますが、玄関やドアに設置したうえでインターホンを連携させるといった複雑なシステムとなる場合は、必要に応じで2回線~16回線用の制御装置を使用する仕組みとなります。住宅用におすすめの美和ロック制御盤は、BAN-MS1やBAN-DS1、集合玄関や共用エントランスですと、2線式電気錠操作盤とバッテリーユニットが付いたBAN-DS1+BAN-D.BATです。また、制御部にテンキースイッチやカードスイッチが付いた仕組みのものや、操作部と制御部が一体になっている製品もあるため、導入の際は信頼できる業者との打ち合わせが必要です。

◎美和ロックの電気錠の選び方
美和ロックの電気錠は種類も非常に豊富なため、使用する施設、用途や目的に応じて細かく選択が可能です。テナントオフィスビルによく導入される美和ロックの製品は、多回線電気錠システムです。パソコンでLAN接続することで最大約200台の電気錠を一括管理することができます。各扉の施解錠・開閉状態の確認や、個別に施解錠を制御できる仕組みになっています。火災などの非常時には、すべての扉を一斉に解錠できるといったメリットもあります。美和ロックのテンキー操作盤TKU003.Dや、非接触ICカードTLNF-C01などを組み込むことが可能で、操作盤には美和ロックのBAN-ASシリーズを導入するケースが多いです。
○戸建て住宅の場合
戸建住宅にテンキーの電気錠を付ける場合は、玄関に錠前と2線変換アダプターを設置します。扉と枠間の通線をする金具である通電金具を、リビングやキッチンには制御盤・操作盤を取り付けます。来客の際は、玄関に設置したテンキーからのデータを受け取って暗証番号の照合を行い、正しい番号であれば操作盤へ解錠信号を送り、解錠するといった仕組みになっています。美和ロックの製品の場合、玄関にはTKU-003.DCVのテンキーを、キッチンやリビングの操作盤にはBAN-MS-1を設置します。
○病院や老人ホームの場合
病院や老人ホームに導入される美和ロックの製品は、火災報知機やトイレ内の開閉ボタンの装置を組み込むケースが多いです。防災センターの操作盤ともつながっており、火報信号入力があれば、各扉を同時に解錠できる仕組みになっています。そのため、火災時などの避難や救助が可能です。病室の入り口には美和ロックのU9AU-S51–1を、病室内には開けるボタンを押すことで操作盤には信号を送る仕組みの居室側操作表示器、美和ロックBAN-IS22C. SPAを設置します。防災センターには個々の扉の状態を監視できる美和ロック多回線型電気錠操作盤BAN-AS8を設置すると、一斉に解錠できる仕組みも完成します。
○工場の場合
工場などには、カードリーダーの製品を導入するケースが多いです。カードをかざすことでそのデータが、出入り管理装置に送られ解錠する仕組みとなっています。出入り口には美和ロック非接触ICカードリーダRDNT-S02Aや、美和ロックRDNT-B03Aを設置すると、カードの使用履歴がパソコンで確認できる仕組みになります。美和ロックの出入管理装置CMCU-801を導入すると、最終退出信号も出力する仕組みとなるので、警備のほか空調などとの連動も可能です。
○賃貸住宅の場合
賃貸住宅には、美和ロックFelicaロックの導入が増加しています。共用の玄関には、美和ロックRDFL-B03Mを設置し、Felicaカードをかざすことで、管理人室の制御盤がIDを照合して自動ドアを動作させるといった仕組みになります。カードを紛失した場合でも無効にできるため、高いセキュリティを保ちます。共用玄関、各住居の扉に1枚のカードで対応できる点がメリットです。

◎電気錠の設置は電気工事が必要
美和ロックの電気錠の取り付けには、電気工事が必要になります。電気工事は電気工事士の資格を持っている業者に頼まなければ、のちにトラブルの原因になる可能性があります。美和ロックの製品を取り付ける際の業者選びは、その業者が電気工事の資格を持っているかをしっかり確認し、配線の仕組みや美和ロックの製品に詳しい確かな実績のある業者が適切です。美和ロックの電気錠はさまざまな種類があるので、取り付ける扉に適した製品を選びましょう。カウンセリングやアフターフォローに関しても充実している業者であれば、取り付け時の相談や、取り付けたあとのトラブルにも対応してくれるので安心です。
◎まとめ
美和ロックの電気錠は、使用する施設や用途によって連動する機器や仕組みもさまざまです。美和ロックの製品取り付けを検討中の方は信頼できる業者へ依頼しましょう。カギ舎では、電気工事士の資格を有し、数々の実績を積んだスタッフが在籍しています。年中無休24時間対応しているので、美和ロックの製品導入を検討している方はぜひお気軽にご相談ください。