シャッターにおける鍵トラブルと鍵交換
シャッターの鍵は、大切な財産や資材を守るものですが、屋外での設置や長年の使用によって、しだいに劣化していきます。鍵の違和感や不具合をそのままにしておくと、シャッターが使用できなくなるだけでなく、防犯面にも悪影響を与えます。シャッターの鍵を安心して使い続けるには、大きなトラブルに発展する前に鍵交換を行うことが大切です。この記事では、シャッターにまつわる鍵トラブルや侵入手口、鍵交換のポイントをご紹介します。
◎シャッターの鍵交換の必要性
屋外で使われることの多いシャッターの鍵は、その使用環境や頻度から想定以上に劣化が進むものです。シャッターは通勤や帰宅の時間帯、店舗の営業時間、資材の搬入や搬出といったタイミングで頻繁に利用されます。シャッター自体の目立った汚れは掃除しても、鍵の状態にまで忙しくて気が回らない方も多いでしょう。しかしメンテナンスや鍵交換を後回しにしていると、鍵が抜き差ししにくい、回らないといった鍵トラブルや、防犯性の低下を引き起こす恐れがあります。突然シャッターの鍵が使えなくなると、生活や仕事に大きな支障をきたします。車庫の鍵であれば出勤が困難になり、店舗のシャッターであれば開店時間に間に合わず、休業も検討せざるを得ないでしょう。鍵トラブルは、鍵の耐久性が下がっているサインでもあるため、鍵交換をして防犯性を維持する必要があります。耐久性が下がると破壊が容易になり、シャッター内の貴重品を盗まれるリスクが高まります。店舗の多くは客用通用口にシャッターを備えていますが、屋内に侵入され貴金属やブランド品を盗まれる被害は後を経ちません。警察庁によると、令和3年の侵入窃盗のうち店舗に侵入する出店荒しの犯罪認知件数は3,958件、事務所荒しが2,931件、倉庫荒しが3,594件です。自動車、オートバイ、自転車を狙った乗り物盗も119,336件と高い水準で発生しています。鍵の状態をこまめにチェックし、古くなったり不具合が出てきたりしたら早めに鍵交換することが、大切な財産を守ることにつながります。

◎シャッターを狙った侵入手口
シャッターを狙った侵入手口には、「合鍵」「ピッキング」「穴開け」「こじ開け」といった種類があげられます。落とした鍵からシャッターの場所を特定されると、不正な合鍵によって侵入される恐れがあります。空き巣やいたずら目的で盗まれた可能性も考えられるため、紛失した際にも鍵交換が必要です。中古物件のシャッターを使用している場合には、前の管理者が合鍵を持っている可能性もあるため、念のために鍵交換をしておきましょう。針金や専用のピッキング工具を使い解錠するピッキングも、シャッターへの侵入手口のひとつです。道路や歩道に面したシャッターは、玄関扉に比べると不審者が容易に近づきやすい場所です。窃盗犯の多くは犯行前に周辺の下見を行います。ピッキングがしやすい鍵だと悟られると狙われるため、場合によっては早急な鍵交換が必要です。そのほか穴開けやこじ開けといった、破壊を伴う強引な手口で侵入されるケースも存在します。穴開けは金切りハサミや電動ドリル、きりを使って鍵穴の近くに穴をあけ、針金や手でサムターンを操作して穴を開ける手口です。シャッターを開閉する際の持ち手を壊して、その穴からサムターンを操作するケースもあります。プラスチック製の持ち手の場合、経年劣化で壊れやすくなっている場合があるため、鍵交換とともに状態を確認しておきましょう。こじ開けは、バールや木の片を使って地面との隙間を大きくしたり、両端のガイドレールや中央の中柱(なかばしら)を取って侵入する手口です。スイッチボックスを備えた電動式シャッターの場合、電動ドリルでスイッチボックスの蓋に穴を開けたり、ドライバーでふたをこじ開けたりする手口もあります。シャッターへの侵入対策には、シャッターの強度を高める方法があります。一般的な軽量シャッターの厚みは0.8mmが主流なのに対して、ビルや工場などで使われる重量シャッターは1.6mmが主流です。防犯性に不安を感じる場合は、軽量シャッターから重量シャッターに変更することで強度を高められます。持ち手をプラスチック製から丈夫な金属製に替えたり、シャッターガードを屋内側に配置したりして強度を高める方法もあります。侵入犯は音や光を嫌う傾向があるため、鍵交換とあわせて人感センサーつきのライトや防犯アラームを活用するのも有効です。
◎シャッターで使われる鍵の仕組み
鍵の状態をチェックする際は、通常時のシャッターの動きを理解しておくことがポイントです。シャッターの操作方法には手動式と電動式の2種類があり、手動式シャッターは、屋外側に鍵穴を備えています。屋内側にはサムターンと呼ばれるつまみがあり、左右に伸びる金具の先端にはカンヌキとなるラッチがついています。鍵やサムターンに連動して金具が伸び、両端の受け部にはまることで施錠され、金具が縮んで固定が外れると解錠される仕組みです。一般的な真上に上げるシャッターでは、ロックが外れると、上部のバネによって少ない力のみで開閉できます。電動式のシャッターは、シャッターボックスと呼ばれる箱にある暗証番号キーやボタンで施解錠し、モーターで開閉する仕組みとなっています。モーターは電気で動くため、手で押し上げることなく施解錠から開閉までできる点がメリットです。鍵の動作に違和感を覚えた場合は、これらの仕組みのどこかに異常をきたしている可能性があるため、悪化する前に鍵交換を検討しましょう。

◎シャッターの鍵トラブルの原因
鍵トラブルの種類はシャッターが手動式か電動式かによって異なりますが、いずれの場合も原因を知ることで鍵交換のサインに早く気づくことができます。錆び、汚れ、詰まりによって起こる「抜き差ししにくい」「回しにくい」「引っかかる」といったトラブルは、鍵穴を持つ手動式シャッターならではのトラブルです。鍵穴が錆びる原因には、経年劣化のほか、濡れた状態での鍵の使用や開閉の少なさ、立地による潮風の影響があげられます。鍵穴の錆びが進行すると、鍵の突起と一致しなくなり、解錠できなくなる恐れがあります。シャッターが多く使われるのは、物が頻繁に移動される倉庫や車庫など、物理的なダメージを受けやすい場所です。開閉のたびにホコリやゴミが舞い上がることで、シャッターの鍵穴に付着した汚れは蓄積されていきます。汚れや砂利のほか、いたずらによる接着剤などの混入で鍵穴が詰まると、鍵の操作に支障をきたし、鍵交換が必要になります。錆びや汚れ、詰まりが軽微な場合は、鍵交換の前に掃除や潤滑剤の使用を試すのも有効です。掃除機の先やエアダスターを使って、鍵穴の汚れや異物を慎重に除去し、乾いた布や歯ブラシで鍵本体を掃除してください。鍵穴には専用の潤滑剤を少量塗布したのち、鍵をそっと差しながら油をなじませましょう。掃除や潤滑剤を試しても改善がみられない場合は、無理して使用せずに鍵交換を検討してください。無理な使用は鍵穴や鍵の変形を招き、鍵が抜けなくなったり、使用中に折れたりする原因になります。合鍵から作った合鍵は、精度の低さからしだいに鍵穴と一致しなくなる場合があるため、鍵交換で適切な合鍵を作り直す必要があります。施錠や解錠ができなくなるトラブルには、カンヌキの役目を果たすラッチの変形があげられます。トラックやフォークリフト、資材の接触などの衝撃でラッチが変形すると、ラッチがうまく受け部にはまらず施錠できません。一方、経年劣化で屋内側にあるサムターンが正常に鍵と連動しなくなると、鍵穴との回転にずれが生じ、解錠が困難になります。シャッターの鍵の寿命は10年から15年程度とされているため、長く使っている場合は使用年数を確認してみましょう。電動式シャッターのトラブルの多くは、モーターへの電気供給やスイッチの不具合が原因です。電動式は電気で動くため、コンセントが抜けていたり、ブレーカーが落ちていたりすると、解錠ボタンを押してもシャッターが動きません。リモコンの電池が切れている際や、押しボタンの接触不良で施解錠できないケースもあります。通常、電動式シャッターは全開か全閉で動きますが、規定値を超えた際に自動で停止する安全機能があります。鍵の施解錠ができない原因のひとつは、こうした安全機能の誤作動です。違和感を覚えた時点で早めに鍵交換や点検を実施することで、こうしたさまざまな鍵トラブルを防ぎ、安心してシャッターを使用できます。
◎防犯性を高めるシャッターの鍵交換
シャッターの鍵交換は、不具合の改善だけでなくセキュリティを高めるチャンスでもあります。設置してから1度も鍵交換をしたことがない場合は、念のため鍵の種類を確認しておきましょう。ディスクシリンダー錠やピンシリンダー錠といった古いタイプの鍵は、ピッキング耐性が近年のものに比べると低くなっています。ディスクシリンダー錠は、鍵穴が縦で「く」の字の形をしており、両側がギザギザの鍵です。薄い金属板を障害に使うため製造コストが低く、合鍵作製も容易な点が利点とされます。2000年前後に流行したピッキングで多く狙われた影響から生産終了となっていますが、古いシャッターでは使われている場合があり、鍵交換が推奨されます。ピンシリンダー錠は、その丈夫さからロッカーや引き出しにも使われる片側がギザギザした鍵です。単列と呼ばれる古いピンシリンダー錠は、ロック機構に使われるピン配置の方向が一方向のみのため鍵違い数が限られます。鍵違い数はピッキングのしやすさに大きく関わるため、ディスクシリンダー錠と同様に鍵交換が推奨されます。シャッターの鍵交換に適した代表的な錠は、鍵にクレーターのような穴を持つディンプルキーです。ピンシリンダー錠を改良したディンプルキーは、複数の角度からピンを配置することでピン数が大幅に増えています。鍵違い数の多さからピッキングに強く、複製もしにくいため、シャッターの鍵交換に適した鍵といえます。そのほか鍵交換では、防犯に関わる省庁と民間団体からなる組織によってテストされたCP認定品を参考にすることもポイントです。穴開け、こじ開け、部品の破壊、ピッキングへの抵抗時間が5分を越した製品のみが合格品として認定されています。シャッター関連の認定品として公表されているのは、軽量シャッターや重量シャッター、スイッチボックスのほか、天井に収納される方式のオーバーヘッドドアです。セキュリティを向上させるために、これらのCP認定品を鍵の種類とあわせて参考にしてください。

◎鍵交換の手順とポイント
シャッターの鍵交換をスムーズに行うには、鍵の専門業者に依頼するのが安全かつ確実です。鍵交換の工事では、屋内側から、サムターン横と左右の金具にあるネジを外し、新しい錠に付け替えます。ただし、既存のシャッターの状態によっては想定通りに鍵交換が進まないケースがあります。扉と一体になった鍵は単独での鍵交換ができないため、シャッターごと交換せざるを得ません。現在は営業していないメーカーや、製造や販売が終了している鍵の場合は、同じタイプへの鍵交換は困難です。複数メーカーに対応するユニバーサルタイプを除き、多くのシャッター錠はメーカーにより形状が異なるため、選定ミスで鍵交換できない恐れがあります。プロに依頼すれば、こうした製品選びに悩むことなく迅速に鍵交換を行えます。不具合の原因となっている箇所を正しく特定して鍵交換を行うため、トラブルが再発しにくい点もメリットです。修理の相談や、扉が開かない場合の鍵開けまで任せられるため緊急時にも安心して依頼できます。突然の鍵交換にも落ち着いて対処できるよう、鍵の違和感が小さいうちに信頼できる鍵の専門業者を見つけておきましょう。
◎まとめ
シャッターの鍵は大切な財産を守るために重要なものですが、老朽化や不具合をそのままにしていると、施施錠できなくなる可能性があります。いざというときに慌てないために、よくある鍵トラブルを知り、早めに鍵交換を行いましょう。ピッキングなどの犯罪を防ぐには、ディンプルキーやCP認定品への鍵交換がポイントです。カギ舎では、国内主要メーカーのシャッター錠をとりそろえているため、既存のシャッターに合わせた迅速な対応が可能です。シャッターの鍵交換を検討している際は、お気軽に当社までご相談ください。