ピッキングに強い鍵と不正解錠を防ぐポイント
鍵は防犯や安全を守るために使用されていますが、ピッキングによって空き巣被害に遭いやすい鍵があります。古い鍵や簡易な勝手口は防犯性が低くピッキングされやすいため注意が必要です。不正解錠を防止する強い鍵に鍵交換をして、ピッキングから家を守る対策を講じましょう。この記事では、ピッキングに強い鍵やピッキングによる不正解錠を防ぐポイントをご紹介します。
◎ピッキングで侵入されやすい鍵
ピッキングとは、カギのかかった建物に特殊な器具を使い不正解錠する空き巣の侵入手口のひとつです。ピッキングを用いた解錠は、音を立てず窓を破壊することなく侵入されてしまうので、気づきにくいとされています。ピッキング行為には特別な技術がいると思われがちですが、特殊な器具を使うと比較的簡単に解錠することができ、慣れたピッキング犯は鍵がかかったドアを数秒程度で解錠されてしまいます。デッスクシリンダー錠が一般的だった2000年頃にピッキングによる犯罪が多発しました。その後2003年をピークにピッキング犯行件数は減少傾向にありますが、犯罪は後を絶ちません。大切な家がピッキング被害に遭わないためにも、自宅の鍵がピッキング犯行に狙われない強い鍵かどうか、確認しておくことが大切です。ピッキングに遭いやすい鍵は「ディスクシリンダー」「ピンシリンダー」「モノロック」「インテグラル錠」などがあげられます。ディスクシリンダー錠は、鍵穴が「く」の字になっていて、鍵の両方にギザギザが付いているのが特徴で、1970年代に多くの日本家屋に普及されていました。鍵を差し込み合致されると回転し解錠できる簡単な仕組みで、セキュリティ性が高くないことからピッキングに強い鍵ではありません。ディスクシリンダー錠を狙ったピッキングが後を立たなかったため、国内生産は2000年に終了しています。2000年以降に新しく建てた建物には使用されていませんが、2000年以前に建てた建物の場合は、そのままディスクシリンダー錠が残っていることがあります。ピンシリンダー錠は、ひと昔前に公団住宅や賃貸アパートなどによく使われていた鍵です。鍵の片方にギザギザがあるもので、円筒のシリンダーに鍵の差し込み、6本のピンの高さを合わせて回転させると、解錠する構造になっています。シンプルな作りなので住宅や会社の鍵には不向きで、ピッキング犯に狙われやすい鍵のひとつです。モノロックは、1960年代に爆発的に普及された鍵で円筒錠とも呼ばれています。ドアノブと鍵が一体化したタイプで、内側にあるボタンを押し込むとドアノブはロックされ、外側から開けることができません。外側がドアノブを回すことができれば解錠ができるので、鍵穴に無理やりドライバーを差すと簡単に解錠されてしまうことから、ピッキングに強いカギとはいえません。今は室内でよくみられるタイプのカギですが、古いアパートや一軒家の勝手口に使用されている場合もあります。インテグラル錠は、形状がモノロックに似ていますが、外側のドアノブの中心に鍵穴が付いています。内側にはサムターンというつまみが付いていて回すと施解錠できる仕組みになっています。インテグラル錠は、こじ開けやピッキングに弱い構造で防犯性は高くはないため、玄関ドアの鍵には向いていません。ピッキングに強い鍵ではなく、室内で使用することが多い会議室やトイレなどに取り付けられています。

◎ピッキング防止法による防犯性能の表示
数十年前の鍵は、その当時は最先端でもピッキングによる侵入窃盗が多発するようになり、2003年6月にピッキング防止法の制定がされました。ピッキング防止法とは、特殊解錠用具の所持の禁止等に関する法律で、特殊解錠用具の所持や指定侵入工具の隠匿携帯を違反すると1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金になります。特殊解錠用具とは、侵入を行うためのピッキング用具、破壊用シリンダー回し、ホールソーのシリンダー用の軸、サムターン回しなどを指します。この法律により、正当な理由なく所持することは禁止されています。指定侵入工具とは、マイナスドライバー、バール、ドリルがそれにあたります。建物に侵入で出入口や窓を破壊するために、指定侵入工具を隠して持ち歩くことは禁止されています。その後ピッキング防止法にもとづいて、2004年4月1日から指定建築錠には防犯性能の表示が必要になりました。指定建築錠には住宅の玄関や建物の出入口用に作られているシリンダー錠、シリンダー、サムターンの3つが該当します。指定建築錠の防犯性能の表示には、6つの項目の防犯性能表示が必要になりました。耐ピッキング性能表示の基準とは、ピッキング解錠するまでにかかった時間を計測した最も短い時間を性能表示します。5分未満、5分以上、10分以上の3種類です。耐かぎ穴壊し性能表示の基準は、シリンダーを破壊するまでの時間を計測して、最も短い時間を性能表示し、5分未満、5分以上、10分以上の3種類があります。耐サムターン回し性能表示の基準は、サムターンの回しを解錠するまでに5分を有する基準で判断し、5分以上で「あり」5分未満で「なし」と表示されています。耐カム送り解錠性能表示の基準は、カギの隙間から針金のようなで操作するカム送り解錠するまでにかかる時間で判断します。5分以上かかると「あり」、5分未満で解錠するときは「なし」と表示されています。耐こじ破り性能表示の基準は、ドアの隙間からバールのようなものでこじ破り開錠するまでにかかる時間です。5分以上かかると「あり」、5分未満で解錠するときは「なし」と表示します。またシリンダー錠やシリンダーを解錠するものとして出荷するときに、子鍵の本数を表示することになっています。性能表示にはよく「5分」という基準が使われていますが、それは窃盗犯が犯行に5分以上時間がかかると約7割が侵入をあきらめ、10分以上欠かすとほとんどがあきらめるといわれています。鍵メーカーの防犯性能の表示は、製品のパッケージや取扱説明書で確認できるので、ピッキングに強い鍵を検討する際に役立ちます。さらに防犯性能を高めるためには、性能表示の理論鍵違い数も確認しましょう。理論鍵違い数とは、揃えるピンのパターン数を表したもので、シリンダーのパターン数が多いほど解錠されにくい強い鍵といえます。

◎ピッキングなど不正解錠に強い鍵とは
ピッキングに強いのは金属製の鍵を持たない電気錠や電子錠ですが、ここでは物理的にピッキングに強い鍵のディンプルキー、ウェーブキー、ロータリーディスクタンブラーに絞ります。ディンプルキーはピッキング対策に考えられた防犯に強い鍵です。新しい住宅はディンプルキーが主流となっており、鍵はボコボコした小さな丸いへこみが複数あいているのが特徴です。シリンダーの内部には上下左右にピンがついていて、鍵と合致すると解錠される仕組みになっています。ピンの数や方向の組み合わせを増やすことで、理論上何億通りの組み合わせが可能です。組み合わせが多いほど手間と時間がかかり防犯性が高くなります。ディンプルキーは、一般的なシリンダー錠よりも内部が精密で複雑になっているため、ピッキングなどによる不正解錠がされにくい強い鍵といえます。ディンプルキーは解錠に10分以上はかかるといわれていることから、犯行をあきらめさせることができます。鍵は細かなへこみや微妙な大きさが刻まれているので、不正な複製には高度な技術や特殊な工具が必要になるため、困難で複製が難しい強い鍵となっています。ギザギザの鍵のディスクシリンダーに比べて,ディンプルキーは摩擦が少なく折れにくく、耐久性にも強いのもメリットです。ウェーブキーは、表面に波のような形の模様が刻まれているのが特徴で、ピッキングに強い鍵です。ウェーブキーはサイドバー方式を搭載しています。シリンダー内部にはサイドバーというピンがあり、鍵穴にピッキングによる特殊器具を使って差し込んで解錠することはできません。本来のウェーブキーを差し込んだときのみ正常に解錠されます。つまり、ピッキング行為によって物理的な不正解錠はできない強い鍵になります。ウェーブキーは、もともとは自動車メーカーで採用されていたピッキングに強い鍵で、車の防犯性を高めるため開発された製品でした。のちに防犯に強いことから、住宅の玄関ドアや自転車のカギなどにも使用されるようになりました。抜き差しによる経年劣化でスムーズに回らないとか、差し込みにくいといった不具合が起きる場合があるので、鍵を長持ちさせるためにも、ほこりや汚れが付着しないように日頃からメンテナンスを心がけましょう。ウェーブキーは不正解錠ができないサイドバー式と、耐ピッキング性能が10分以上の性能を持っていることから、ピッキングに対する防犯性能がある強い鍵とされています。ロータリーディスクタンブラー錠はディスクシリンダー錠の改良版で、ピッキング対策が施され防犯に強い鍵です。ロータリーディスクタンブラー錠の鍵は、ディスクシリンダーとほぼ同じ形状で、両方の側面にギザギザが刻まれています。シリンダーのなかに鍵を差すとタンブラーの切り欠けが、ロッキングバーと呼ばれる部品が内筒に収まり、内筒が回転して解除される構造です。鍵を抜き取ったシリンダーのなかは、ロッキングバーがスプリングによって外筒の溝に押しつけられていて、内筒を回転されようとしても、タンブラーが邪魔をして内筒を回転することができません。最近モデルはタンブラーにダミーの切り込みがほとんど入っているので、ピッキングに時間がかかり、窃盗犯も断念するしかなくなります。ロータリーディスクタンブラー錠は複雑な仕組みのため、以前のディスクシリンダー錠と違って防犯性能が高くピッキングに強い鍵です。シリンダーの内部はドライバーやドリルを使用して、破壊しても簡単には破壊させない強い防犯性能を持っています。

◎ピッキングによる不正解錠を防止するポイント
犯行をあきらめるかはピッキング時間の長さで決まります。最近のマンションや一軒家のドアには「ワンドアツーロック」といった玄関ドアの扉には、2つカギをかけるタイプが増加しています。出入口のカギを単純に2つにかけることで倍の時間がかかることで、不正解錠を断念させることができます。既存のドアに補助錠としてつけても効果はありますが、扉の交換をするのであれば、玄関扉に2つ以上カギをかけるタイプの方が、セキュリティ面の強化につながります。玄関や勝手口近くにセンサー付きライトを設置することも、防犯対策に強い効果があります。センサーライトは動いている人や物体に反応するセンサーを備え、反応に応じて照明がついたり、消えたりします。センサーライトは暗い場所や死角になっている場所に設置し、不審な人物が近づくと急にライトを照らすことによって、周囲の人や家の人に異常があったことを知らせるので、侵入者の犯罪行為を防止する役割があります。センサーライトを備え付けることで、侵入者に防犯意識が高い家だと認識させることも、空き巣の犯行を抑止します。防犯カメラは街中やマンション出入口などで見かけますが、最近では戸建て住宅にも防犯カメラ設置が増えています。防犯カメラは不審者の顔や姿がはっきり映し出され、侵入者はカメラで本人を撮影されることになるので、カメラがあることで犯罪を抑止する強い効果があります。人通りが少ない道路に隣接している建物や死角の多い建物はピッキング犯に狙われやすいことから、防犯カメラは防犯対策になります。ほかにも、新聞・郵便物が溜まっていたり、夜に家に電気が付いていなかったりする、あからさまに留守がわかりやすい家は、空き巣に狙われやすくなります。郵便物は早めに片付けるように心がけ、外泊するときはピッキングに強い防犯対策として、家に電気を点けてお出かけするのも良いでしょう。
◎まとめ
ピッキングのよる侵入窃盗は、2003年から年々減少していますが、侵入窃盗は完全にはなくなりません。ピッキングを未然に防ぐには、防犯性の強い鍵に交換したり鍵を増やすことで、ピッキングに強い家になり空き巣の被害から守ることができます。自宅の鍵でお悩みの方やピッキングに強い鍵をお探しの方は、年中無休24時間で対応している当社へお気軽にお問い合わせください。