賃貸物件の鍵交換で知っておくべきポイント
防犯意識の高まりによって賃貸物件での鍵交換の必要性が増していますが、鍵交換で知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。賃貸物件での鍵交換は、賃貸人と入居者の間でトラブルが起こりやすい事柄の1つです。鍵交換の際、たまたま見つけた業者に依頼したら、あとで高額の請求をされてしまったというケースも報告されているため、業者選びも注意が必要です。無用なトラブルを避け、悪徳業者に騙されないためにも、賃貸物件の鍵交換について正しい知識をご紹介します。
◎賃貸物件は鍵交換が必要
空き巣や強盗の被害から自分や家族の身を守るために、賃貸物件の玄関の防犯対策は必要不可欠ですが、なかでも有効な手段としてあげられるのが鍵交換です。鍵交換とは、賃貸物件に以前住んでいた人が使用していた鍵とシリンダーを、新しい入居者用のものに交換することを言います。賃貸物件の鍵は一般的に退去時に賃貸人(オーナーや管理会社)へ返却する決まりですが、内緒でスペアキーを作っている可能性があるので、もともとあった鍵を返却されただけでは安心できません。そのため賃貸物件では、鍵交換を行うことで以前の鍵を使えないようにしておく必要があります。多くの場合、賃貸物件の入居前に賃貸人が鍵交換を行い、入居費用の一部として入居者に請求します。賃貸物件の鍵交換をしておかなければ、過去の入居者が作ったスペアキーによる不法侵入や、強盗や盗難被害に遭うなど、安心であるはずの住居が危険にさらされることになります。あらぬ被害から賃貸物件を守るために、鍵交換は非常に重要です。もし賃貸人が入居前に鍵交換を行っていない場合は、あらかじめ賃貸人に許可を取ったうえで鍵交換を行い、自らの身を守ることが大切です。
◎賃貸物件の鍵交換のルール
賃貸物件の鍵交換のタイミングは、前の入居者が退去した後か、新しい入居者が入る直前のどちらかです。費用負担は賃貸主が定めたルールによりさまざまで、退去者が賃貸物件退去のタイミングで負担するケース、あるいは新しい入居者が入居時に費用負担するケース、さらに賃貸人が負担してくれるケースもあります。賃貸物件の鍵交換に関しては、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で規定されており、鍵交換費用は入居者が負担するのが妥当とされています。ただしこれはあくまでガイドラインであり、法的拘束力はありません。賃貸契約の際には必ず、鍵交換のタイミングはいつか、誰が費用を負担するのかをあらかじめ確認しておきましょう。賃貸借契約書に鍵交換に関する内容も明記しておけば、後に賃貸人との間でトラブルになることを防げます。賃貸物件入居の際に渡された鍵が、交換したにもかかわらず古いものだった場合は要注意です。賃貸物件の空いている別室や予備の鍵など、使いまわした鍵を交換している可能性があります。賃貸物件における鍵のローテーションは、交換費用が安く済むので不動産業では古くから行われていました。同じ賃貸物件内であっても号室が変わっているはずなので、リスクはそこまで高くないかもしれませんが、あまり気持ちの良いことではありません。悪意のある賃貸人であれば、鍵をローテーションで交換しておきながら、新品の交換費用を請求してくるケースや、実際には鍵交換を行っていないにもかかわらず費用だけ請求してくるケースも考えられます。賃貸物件に入居の際には必ず、鍵が新品になっているかを確認しておきましょう。賃貸物件の鍵交換が実際に行われたかどうかをしっかり確かめたいなら、施工日に立会いを希望することをおすすめします。賃貸物件の場合、入居してから入居者が勝手に鍵交換を行うことはできません。緊急時に部屋に入れないと困るという理由はもちろんですが、賃貸物件は賃貸人のものであり、鍵も「借りているもの」だからです。もし自分で鍵を変えたい場合は、必ず賃貸人に鍵交換をしても良いか確認を取りましょう。賃貸借契約書に「鍵交換NG」のような注意書きがあれば交換はできません。確認を取らず勝手に行ってしまうと、賃貸物件の扉についた傷の費用負担をあとから求められたり、退去時に鍵を元に戻すように言われるなどトラブルに発展する可能性があります。自分で賃貸物件の鍵交換をする場合は、必ず「事前に」確認を取ることが重要です。分譲マンションの賃貸物件で鍵交換を行いたい場合は、手続きなどが複雑になります。近年のマンションの多くはエントランスと各戸の鍵が連動した「逆マスターシステム」になっているため、自宅玄関の鍵交換のみ行ってしまうと、エントランスが開かなくなります。オートロックとは別の鍵を新たに付ければ問題は解決しますが、2つの鍵を使い分けなければならないので手間に感じるかもしれません。「逆マスターシステム」の鍵交換をしたい場合は、賃貸人に加えて、マンションの管理組合に許可を取らなければいけない場合があります。申請して許可されれば交換自体は可能ですが、セキュリティ性の高い特別な鍵なので発注から届くまでに時間がかかることがあり、部品や交換費用も高額になる傾向にあります。

◎賃貸物件の鍵の種類と鍵交換費用
賃貸物件で使用されている鍵にも、さまざまな種類があり、金額も異なります。特殊な取り付けの場合は記載の費用から変わることがあるので、実際の費用は鍵業者から見積もり書をもらうようにしましょう。
〇ディスクシリンダー
子鍵がギザギザして「く」の字状になっている鍵で、安価に大量生産ができるということで1970年代に多く出回りました。ピッキング被害が多発したため防犯性が低い鍵とされ、現在では製造されていません。新築の物件では使われませんが、今でも古いタイプの物件で目にすることがあります。
〇ロータリーディスクシリンダー
ディスクシリンダーの後継モデルで、構造を複雑化することでピッキングされにくい鍵に改良された鍵です。後述のディンプルキーに比べると防犯性能は劣りますが、価格が比較的安くスペアキーも作れるということで、コストパフォーマンスに優れていると言えます。カギ舎ではロータリーディスクシリンダーの鍵交換は、部品代・工賃・消費税込みで6,050円〜となっています。
〇ディンプルシリンダー
「ディンプル」は英語で「くぼみ・へこみ」を意味し、鍵の両面に大きさの異なるでこぼこのくぼみが付いているのが特徴です。防犯性が非常に高く、近年の新築物件に多く採用されています。くぼみの形状を変えるだけで別の鍵にできるほどバリエーションが豊富なので、スペアキーなどで複製を作るのが困難な仕組みになっています。カギ舎ではディンプルシリンダーの鍵交換は、部品代・工賃・消費税込みで7,260円〜となっています。
〇電気錠・電子錠
賃貸物件でも、賃貸人の許可があれば電気錠や電子錠の取り付けが可能です。電気錠や電子錠は、玄関扉を暗証番号やカードキーなどで解錠できるうえ、セキュリティ性にも優れているので、近年導入が増えています。電気錠はマンションのオートロックのように電気の力で施解錠するタイプの鍵です。施工の際には電気工事の資格を持った専門業者による工事が必要になります。停電時は使えなくなりますが、通電している環境であれば安定して施解錠を行うことができます。一方の電子錠は、電池で動くタイプの鍵で、取り付けが非常に簡単にできるのが特徴です。玄関の扉に穴をあけずに取り付けられるものもあるので、賃貸物件では電子錠がおすすめです。電気錠や電子錠は機種により費用が変わるので、見積もりを取るようにしましょう。

◎鍵交換は専門業者へ依頼
賃貸物件の鍵交換を自分で行う際は、必ず専門業者に依頼して実施するようにしましょう。交換費用には「部品代」「工賃(技術料)」「出張費用」「キャンセル料」があります。これらは業者により金額に幅があります。見積もりを依頼する前に、具体的にどのくらいかかるかをホームページなどで確認しておくと安心です。賃貸物件で鍵交換を依頼できる業者は「メーカー」「便利屋」「鍵屋」があります。「メーカー」は家を建てた際にお世話になったメーカーや鍵のメーカーなどを指し、信頼性が高く安心できる反面、料金が高めだったり納期に融通が利かない場合があります。「便利屋」はホームセンターなどで受付できるところもあり、身近な存在で依頼しやすいのが特徴です。ただし鍵の専門家ではないので、鍵交換に関して細かい要求をしても応えてもらえない可能性があります。「鍵屋」はその名のとおり鍵のプロで、「賃貸物件にはどの鍵が適しているか」など適切なアドバイスを行ってくれ、スムーズに鍵交換をすることができます。鍵屋にもさまざまな会社があり、費用にもばらつきがあります。近所にある鍵屋を選べばすぐに駆け付けてくれるかもしれませんが、かえって高くついてしまうこともあるので、事前にしっかり調べてから依頼するようにしましょう。カギ舎は「鍵と扉の技術屋」として都内中心月間2,500か所以上の作業実績のある鍵屋なので、鍵交換も安心してご依頼いただけます。距離に応じて別途出張費0〜2,200円(税込)をいただきますが、出張費は1か所のみの負担となるので、マンションなど同建物で3か所以上まとめて鍵交換する場合は安くなります。
◎鍵交換の悪徳業者を見分けるポイント
賃貸物件の鍵交換の際に頼りになる鍵業者ですが、残念ながら良心的な会社ばかりとは限りません。競合性の高い鍵業界では、各社が独自のサービスやキャンペーンを実施しており、なかには悪徳業者と呼ばれるところもあります。しっかり調べずに依頼をしたら実は悪徳業者で、大きなトラブルに発展してしまうケースもあるため注意が必要です。悪徳業者トラブルの具体例としては、見積もりで言われた金額とは異なる金額を請求された、こちらが承諾する前に勝手に施工を開始して高額請求をされた、鍵交換を依頼したら壊したまま音信不通になってしまった、などがあげられます。賃貸物件での鍵交換に失敗してしまうと、悪徳業者から不当な費用負担を迫られるだけでなく、賃貸人からも修理費用を請求されてしまうこともあり、入居者に不利益なことばかり起こるのは間違いありません。悪徳業者かどうか依頼する前にしっかり見分けることが大切です。
悪徳業者の特徴としては、費用や作業について具体的な説明をせず、肝心な内容をはぐらかす傾向があります。料金表や見積もりでは比較的安価を提示しておき、こちらからの質問にははっきりと答えずに施工をはじめることで、あとから高額な金額を請求してくるというのがよくある手口です。悪徳業者の見分けるために最も効果的なのは、業者のホームページをくまなくチェックすることです。優良業者であれば、自社のホームページに実績や詳細の料金表が記載されています。特に実績数はわかりやすい指標となるので、数多くの実績を持った鍵業者を探しましょう。ブログ運営やSNS運用をしている場合はそちらもチェックします。更新がどのくらいの頻度で行われているか、内容におかしな点がないかを確認しておきましょう。口コミサイトにも有益な情報が載っているので、利用者のダイレクトな意見を確認して情報収集しておくと安心です。ほかに悪徳業者を見分けるためのポイントとして受付の対応を確認しておきましょう。受付は利用者と鍵業者が最初に接する重要なポジションであり、安心できる鍵業者であればしっかり対応できる人を配置しているはずだからです。また、アフターフォローが充実しているかどうかも大切なポイントです。鍵交換を行った後も鍵は継続的に使っていくものなので、施工後もきちんと対応してくれる業者は、安心して任せられると判断できます。悪徳業者を見分けるためには、依頼する前にしっかり調査することが不可欠です。少しでも「おかしいな」と感じた業者には依頼しないように注意しましょう。

◎まとめ
賃貸物件のセキュリティ向上のために、鍵交換が非常に効果的な手段です。不法侵入や盗難などの被害が起きてから「交換しておけばよかった…」と後悔することがないようにしましょう。自分で賃貸物件に鍵交換を行う際は、必ず賃貸人に許可を取ることが大切です。勝手に施工して不要なトラブルを避けるためにも、賃貸物件の鍵交換の正しいルールを知っておきましょう。カギ舎ではさまざまな種類の鍵を取り扱っているので、賃貸物件の鍵交換の際はお気軽にご相談ください。